投稿者: ちびぞう

法改正させた誘拐劇!映画『天国と地獄』ネタバレ&感想

こちらは以前レポ↓を書いた、ぎふアジア映画祭で鑑賞した作品です。どうも!ちびぞうです!

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

何気に黒澤明監督の作品は、『羅生門』に引き続き2本目!ちびぞうはミーハーですから、名作と言われる作品や巨匠の古い作品などは観てなかったりするものも多いのです・・・。

誘拐犯に対する刑の軽さについての憤りをぶつけたという作品でもあるということにも注目したいですね。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】黒澤明
【脚本】 黒澤明、菊島隆三、久板栄二郎、小国英雄
【原作】エド・マクベイン『キングの身代金』
【製作】田中友幸、菊島隆三
【撮影】中井朝一、斉藤孝雄
【美術】佐藤勝
【録音】矢野口文雄
【照明】森弘充
【整音】下永尚
【監督助手】森谷司郎
【現像】 ヌタ・ラボラトリー
【製作担当者】根津博
【音楽】佐藤勝
【出演([]内は役名)】

  • 三船敏郎[権藤金吾]
  • 香川京子[権藤伶子]
  • 仲代達矢[戸倉警部]
  • 木村功[荒井刑事]
  • 山崎努[竹内銀次郎]
  • 三橋達也[河西]
  • 佐田豊[青木]
  • 石山健二郎[田口部長刑事]
  • 加藤武[中尾刑事]
  • 田崎潤[ナショナル・シューズ宣伝担当重役・神谷]
  • 中村伸郎[ナショナル・シューズデザイン担当重役・石丸]
  • 島津雅彦[青木の息子・進一]
  • 江木俊夫[権藤の息子・純]

【公開日(日本)】1963年3月1日
【上映時間】143分
【配給】東宝
【IMDB】8.4/10.0  (およそ23,500人の評価)

【あらすじ】

製靴会社の専務権藤の息子と間違えられて、運転手の息子が誘拐された。要求された身代金は三千万円。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して三千万円を犯人に受け渡し、無事子供を救出する。非凡な知能犯の真の目的とは。【引用元:映画.com】

【感想(ネタバレするよ)】

☆3.5/5.0

純粋に面白い!ということと、純粋にすごい!ということをまず感じましたね。

143分という時間は結構長いじゃないですか。しかしその長さを感じさせない緊迫感の連続。誘拐劇が起き、誘拐された親側の葛藤も、警察の仕事っぷりも、かなり細部まで描かれた推理劇の構成がお見事!といった感じでした。

犯人からの電話を分析するシーンも面白かったですし、犯人が家を覗き見ていたということから、高台にある被害者宅の周辺のどの一体に犯人が潜んでいるのかという目星をつける捜査も楽しかった。
最初に犯人が富豪の息子ではなく、その富豪の運転手の息子を誤って誘拐されてしまったという点もストーリーとしてとても二転三転して面白かったですね。

自分の息子であれば迷わず身代金を払おうとしたけども、運転手の子どもなら払わない!と言ったり、しかしやはりそこで良心との葛藤があり払おうとしたり・・・そこにナショナルシューズという会社の権力争いなどが絡んできて話はどんどん複雑絡んで大きくなっていきます。

更に、あの頃の日本にあんな乱れた場所が!?と思うほど薬に乱れた人々の描かれ方。あれもびっくりでしたね。

誘拐犯に狙われる富豪役を三船敏郎が演じています。彼の演技、そして纏った雰囲気が素晴らしく、三船敏郎のおかげで物語に引き込まれたと言っても過言ではない!

そしてちびぞうが一番気に入ったのは誘拐犯役の山崎努。当然だけどわっかい!!!!最近、木村拓哉と二宮和也W主演の『検察側の罪人』などでも見かけたので余計に若い!!!と思いました(笑)

彼は貧しいインターンで、富豪の暮らしを一方的に羨み妬んで犯行に至ったということらしいのですが、特に深い彼の気持ちや生い立ちなどは語られません。

この犯人の私刑が確定したのち、三船敏郎がラストで格子越しに対面するシーンがあるのですが、このシーンが一番印象的で素晴らしいシーンでした。見つめ合った二人の間に漂う空気というか。山崎努の発狂、二人の間におろされるシャッター。

富豪の人生は天国、自分の人生は地獄と語った山崎努のセリフが映画を終わったあとも強烈な余韻として残りました。

いやーこれが巨匠の映画。そして名優たちの演技。それを引き出す演出。

どれも素晴らしかった。

こういう古い作品で面白い!楽しい!と感じる時、ちびぞうはいつも同じことを思うんですが「この映画が公開された当初にリアルタイムで観たかった」・・・と今回も思いましたね。

きっと忘れられない映画体験になったことでしょう。

 

今作が公開された当初、現実でも誘拐事件が多発し、国会でも問題視され刑法改正されたというエピソードもこの映画が世間に与えた影響の大きさを物語っていますね。

今の邦画界でそこまで影響を与える映画があるか?と思うとやはりないと思うんです。そういう意味でもこの映画は、すごかった。

 

 

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大富豪の孫が誘拐!?実話系映画『ゲティ家の身代金』ネタバレ&感想

彼女の戦う相手は誘拐犯、そして世界一の大富豪

ちびぞう母チョイスでレンタルした作品。どうも本当にあった誘拐事件の映画化らしいのですが、ちびぞうは全く事件の事に関しては知らず…。

監督は巨匠リドリー・スコット!『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』などなど、史劇やSFが多い印象の監督。最近では『オデッセイ』などもありましたね。ちびぞうは十戒をテーマにした『エクソダス:神と王』が好きです!

主演はミシェル・ウィリアムズ、ウィリアム・プラマー、そしてマーク・ウォールバーグととっても渋オシャレなメンツ。本当は大富豪役はケヴィン・スペイシーだったそうなんですが、例のセクハラ発覚事件の炎上で降板してしまったんですよね。何とも言えない気持ちになります。

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】All the Money in the World
【制作国】アメリカ
【監督】リドリー・スコット
【脚本】デビッド・スカルパ
【原作】ジョン・ピアソン
【製作】ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、クエンティン・カーティス、クリス・クラーク、リドリー・スコット
【撮影】ダリウス・ウォルスキー
【美術】アーサー・マックス
【衣装】ジャンティ・イェーツ
【編集】クレア・シンプソン
【音楽】ダニエル・ペンバートン
【出演([]内は役名)】

  • ミシェル・ウィリアムズ[アビゲイル(ゲイル)・ハリス]
  • クリストファー・プラマー[ジャン・ポール・ゲティ]
  • マーク・ウォールバーグ[フレッチャー・チェイス]
  • ロマン・デュリス[チンクアンタ]
  • ティモシー・ハットン[オズワルド・ヒンジ]
  • チャーリー・プラマー[ジャン・ポール・ゲティ3世]
  • アンドリュー・バカン[ジャン・ポール・ゲティ2世]

【公開日(日本)】2018年5月25日
【上映時間】133分
【配給】KADOKAWA
【映倫区分】R15
【IMDB】6.8/10.0  (およそ58,900人の評価)

【あらすじ】

73年、石油王として巨大な富を手に入れた実業家ジャン・ポール・ゲティの17歳の孫ポールが、イタリアのローマで誘拐され、母親ゲイルのもとに、1700万ドルという巨額の身代金を要求する電話がかかってくる。しかし、希代の富豪であると同時に守銭奴としても知られたゲティは、身代金の支払いを拒否。ゲイルは息子を救うため、世界一の大富豪であるゲティとも対立しながら、誘拐犯と対峙することになる。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

2.1☆/5.0

もーーーーーーしわけない!!!けどちびぞう的には退屈でした・・・。うーーーんんんn

おおまかなあらすじ

1979年夜のローマ、娼婦街。

17歳という若さで娼婦を値踏みして歩く孫ポール(ゲティ三世)が、近付いてきた車に突然拉致されてしまう誘拐シーンから始まる。

彼の回想シーンで、世界でも歴史上でも一番の金持ちの祖父は一般人とゲティ家の人間は違う、と言っていたのを思い出す。

ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)さんの「資産を数えられるようでは本物の富豪ではない」という名言も飛び出す。

時間は遡り、9年前へ。祖父(ゲティ氏)は父である息子にも興味がなかったらしい。(しかし息子が仕事をくれと言ったら一家を呼び寄せて仕事を世話してやるし、孫とも交流をちゃんと持つし、変わってるけど悪い人ではないのかな?良い父親ではなかったのかもしれないけど)

孫ポールの母であるゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)のシーン。旦那が女と麻薬に溺れて浮気しまくりーーーー!!!そして離婚することになったけど、ゲイルは一切金銭の要求をせず子どもの監護権のみを要求したらしい。この離婚劇以降、父は跡継ぎの役目を果たしておらず、そのせいで孫ポールとゲティ氏の関係も疎遠になっていたらしい。

そして場面は現在へ戻る。ゲティ氏は1700万の身代金を要求する誘拐犯に対し、メディアの前で「孫は14人いて、身代金を払えば他の孫も誘拐される」とコメント。(確かに正論に思える。しかし、孫に見合う金額はと聞かれてゼロと答えるのはなぁ)

原油会社のOPEC?と取引しようとしているフレッチャー氏(元諜報員?)が登場。ゲイルは身代金を払って息子を助けてくれとゲティ氏に直談判しに会いに行く。

フレッチャー(マーク・ウォールバーグ)はゲティ氏に「ローマに行ってポールを取り戻せ」と指示される。ゲティ氏いわく、孫は全員愛しているがポールは特別に感じているらしい。会いに来ている母親に関しては「母親に人質交渉が出来るわけがないから放っておけ」と言う。

ゲティ家には世界中から「貴方の子どもを誘拐した」という手紙が届いている。1700万ドルという身代金に目がくらんで悪者が群がってきたようだ。

孫ポールの人となりも描かれる。彼はかつて学校に火をつけるなどして退学になっていた。誘拐犯はそんな彼に対し「お前は愛されていない」と言う。

孫ポールが実は自分で誘拐劇を仕立て上げようとしていた事がゲティ氏にバレてしまい、彼の信頼を失ってしまう(今回は自分で仕立てたものではなく本当の誘拐)ゲティ氏は孫ポールの調査を打ち止め。

更に、孫ポールは犯人の顔を見たという理由で撃たれる?(はっきり撃たれるシーンはない)

見つかった死体の確認をすると、それは大人の死体であり、孫ポールの死体ではないという事が分かる。死体を詳しく調べてみると、それは前科者の死体だった。その死体から誘拐犯の基地へたどり着くフレッチャー。しかしそこに孫ポールの姿はなかった。すでにポールは資産家に売り飛ばされていた。

孫ポールは監禁場所へ火をつけて脱出し、警察署へ向かう。ゲイルに電話をかけるも資産家が現れ電話を切られてしまう。

資産家に捕まった孫ポールは耳を切り落とされる。資産家はその耳を母親の元へ送りつけたりする。ゲイルはゲティ氏に身代金を支払わせるため画策、金もないのに勝手に身代金を支払うと発表。その動きが功を奏したのかゲティ氏が身代金を払う事に。

ポールは解放されたと連絡が来るが、警察の手が迫っていると知った資産家は解放したポールを殺せと指示。ポールが襲われそうになっているところをゲイルとフレッチャーが保護し、そのまま国外へ逃亡。無事、孫ポールは保護される。

ゲティ氏はおそらく老衰?で自慢のコレクション部屋で死亡。その後、ゲイルが跡取りとなる。

まとめ

このだいぶはしょった良く分からないあらすじを見てもらえれば分かると思うんですけども、ちびぞうは難しいところが何一つわかっていません(笑)

世界一の大富豪となるまでの富を築いたゲティ氏という人物の偉大さと人として足りていない部分の露出、母親の息子を助けるという堅い意思、金が絡み信頼関係を崩壊させたり、逆に誘拐犯との会話劇で語られた”ファミリー(仲間・家族)を大切にする”という言葉で描かれる家族ではない人との些細な絆。

こういう濃厚でさりげない、人間ドラマが交錯していく感じがすごくよくできていた脚本なのかなぁ、というのは分かりました。

しかしそれを面白さとして実感するほど深く物語に入り込めなかったというか・・・ちびぞうは退屈してしまったのでなんとも言えない感想になってしまいました。

本国では非常に評価されている作品だそうです!!!!ということでシメ!!

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画像引用元:映画.com

全員死ぬか、一人殺すか。映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』ネタバレ&感想

彼は四つの悲劇を用意した―――

この独特なタイトルに惹かれ、更に主演がコリン・ファレルとちびぞうの好きなニコール・キッドマンと聞いて観るしかない!!!となった今作。
監督は最近『女王陛下のお気に入り』で第91回アカデミーの最多ノミネートとなる9ノミネートを達成、主演女優賞も獲ったヨルゴス・ランティモス。

彼はイギリスの大手一般新聞である「ザ・ガーディアン」紙にて”この世代のギリシャの映画監督の世代の中では最も才能のある人物”と評されています!

監督の作品は過去に『籠の中の乙女』『ロブスター』を鑑賞しました!どちらも世界観が独特で、ちょっと鬱蒼とした雰囲気が特徴的な作品です。ちびぞうはどちらも好き。どちらかと言えばロブスターの方が好き。(しかしこの映画を観る段階ではちびぞうではこの3作が同じ監督という認識はなかったのです・・・)

そういえば主演のコリン・ファレルはロブスターから引き続きの主演ですね!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】 The Killing of a Sacred Deer
【制作国】イギリス・アイルランド
【監督】ヨルゴス・ランティモス
【脚本】ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリップ
【製作】エド・ギニー、ヨルゴス・ランティモス
【製作総指揮】アンドリュー・ロウ、ダニエル・バトセック、サム・ラベンダー、デビッド・コッシ、ニッキー・ハッティング、アミット・パンディヤ、アン・シーアン、ピーター・ワトソン、マリー=ガブリエル・スチュワート
【撮影】ティミオス・バカタキス
【美術】ジェイド・ヒーリー
【衣装】ナンシー・スタイナー
【編集】ヨルゴス・モブロプサリディス
【出演([]内は役名)】

  • コリン・ファレル[スティーブン]
    ニコール・キッドマン[アナ]
    バリー・コーガン[マーティン]
    ラフィー・キャシディ[キム]
    サニー・スリッチ[ボブ]
    アリシア・シルバーストーン[マーティンの母]
    ビル・キャンプ[マシュー]

【公開日(日本)】2018年3月3日
【上映時間】121分
【配給】 ファインフィルムズ
【映倫区分】PG12
【IMDB】7.0/10.0  (およそ87,000人の評価)

【あらすじ】

郊外の豪邸で暮らす心臓外科医スティーブンは、美しい妻や可愛い子どもたちに囲まれ順風満帆な人生を歩んでいるように見えた。しかし謎の少年マーティンを自宅に招き入れたことをきっかけに、子どもたちが突然歩けなくなったり目から血を流したりと、奇妙な出来事が続発する。やがてスティーブンは、容赦ない選択を迫られ……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

☆2.3/5.0

うーん。正直なところちびぞうにはちょっと意味が良くわからなかった・・・。というのも今作の元ネタは古代ギリシャで上演されていたというエウリピデスの『アウリスのイピゲネイア』というギリシャ悲劇?神話?ということでね。造詣が浅すぎるちびぞうには全くピンと来ず!

なにそれおいしいの?レベルです。

良いなぁ、と思える部分は沢山あったんですけどもね!!!!!

おおまかなあらすじ

医療ミスで死なせてしまった患者の息子(マーティン)に贖罪のつもりで優しくしていた主人公(スティーブン)だったが、ある日彼を家に招き家族に紹介しはじめた辺りから不穏な空気が漂い出す。

娘キムはマーティンに惹かれ交際を始めるものの、冷たく振られてしまう。

息子ボブは急に下半身が麻痺してしまい歩けなくなり入院、しかしいくら病院で検査しても異常はみられない。心因的なものが原因では?と疑う夫婦。

マーティンに誘われ彼の家に行くとマーティンはまるで自分の母親と関係を持てと言わんばかりの行動を取る。不信感を持ったスティーブンはマーティンを拒絶するようになる。

そんなスティーブンにマーティンはしつこく会うよう求め、今息子に起きている異常は自分がもたらしたものだと暗示するような予言を告げる。その内容は

1、手足のマヒが起こる

2、食欲に対する拒絶が起きる

3、目から血を垂れ流す

4、最後には死に至る

と言った感じ。しかしにわかには信じられないスティーブン。

ボブに続きキムも歩けなくなり、二人は食事を取れなくなっていく。マーティンの予言通りになっていくと徐々に「彼の言っていたことは本当なのでは」と思い始めるスティーブン。

子ども達の体調が悪化し徐々に家庭は不安定になり、妻アナにマーティンの父親にした医療ミスと彼との密会を知られ夫婦関係も崩壊寸前。精神的に弱ったスティーブンはマーティンを自宅地下に拉致して拷問する。

するとマーティンは「家族の一人を自分の手で殺せ。さもないと全員死ぬことになる」「自分を殺した場合も同じように家族全員が死に、何もしなくても家族が死ぬ」と脅してくる。

少年の目的は父親の死に対する復讐だった様子。

始めは突拍子もなさすぎる少年の言葉を全く信じていなかったスティーブンだったが、次第に信じはじめ、家族のうち誰か一人を殺さなければこの事態は収まらないのでは?という空気に。

子ども達はどちらが優秀かのアピールを始め、妻は「子供はまた作ればいいじゃん」とか言い始める。

ボブの目から血が流れ出し、スティーブンはついに決意。
家族3人をソファに座らせ拘束し頭に袋をかぶせる、自分は帽子を目深にかぶり目隠しをしてくるくると回りながら銃を持つ。

そう、決められないので運に任せようとロシアンルーレットのように誰か一人を撃ち殺そう!という発想。

一発目と二発目はハズレ、三発目は息子ボブの心臓を打ち抜く。

後日、オープニングでスティーブンと密会していたカフェに向かうマーティン。そこにはスティーブンと娘キム、妻アナ。視線は交わすものの会話はしない両者。

家族三人が寂し気にカフェを後にする姿を目で追いかけるマーティンの場面で映画は終わる。

まとめ

不条理な復讐劇。しかしそこに現実味はなく、どこかファンタジーというかスーパーナチュラルなエッセンスが混じった物語。

この、現実の話だけど現実とは少し違った世界観の中で観客を翻弄するというのがこの監督の味なのかな。

ちびぞうは終盤のロシアンルーレットのシーンにハネケ監督の『ファニーゲーム』を思い出しましたね。意識はしてそう。不条理と言えばファニーゲーム、頭に布をかぶせたらファニーゲーム、というちびぞうの安直な連想ですけども(笑)

子ども達や妻が命乞いするところの身勝手さや自己愛も醜くて気分悪くなること間違いなし。そこらへん、ちびぞうは人間が生々しく憎らしく描かれていて好きです。

マーティンのキャラもね!ものすごく良い味を出してるのでぜひバリー・コーガンの全力サイコパス演技を堪能してください。何かとてつもなく異常な事をしているわけでもないのに、例えば「早口」だとか例えば「スパゲッティ食べてるだけ」だとかのシーンに異常さが滲んでいて末恐ろしいです。本当に。

メインは彼の復讐劇だけど、途中でマーティンがスティーブンを自分の母親と恋人関係?にしようと画策するシーンがあったことから「失った父親の存在」の部分をスティーブンで埋めようとしていた感じもありましたね。

スティーブンに拒絶されたことが物語を大きく動かしたきっかけでもあったしもしかしたら、スティーブンがマーティンの父親(母親の新しい旦那)となれば、誰も死なずに済む未来もあったのかもしれないなぁ・・・

でも決してその選択肢を彼が自分から出してくることがないんですよね。彼なりにスティーブンを慕う気持ちが生まれていたけど、本当の父にはなってもらえなかった。だってスティーブンはおそらく自分の罪悪感やらを埋めるため、自分のキャリアを守るためにマーティンに優しくしていただけだから。

もしかしたらそういう意味で裏切られてしまったという事に対する二重の復讐だったのかもしれませんね。

と、思ったけれども?

結局神話がベースなのでマーティン=神だよみたいな考察が正しいのでしょう!

ラストシーンとか見てもやっぱりどこかマーティンは傍観している存在のようにも見えますしね。

元ネタをよく知らないちびぞうは、神であるマーティンに翻弄されなんとも言えない気持ちになってディスクを取り出すことしかできないのでした・・・。

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画像引用元:映画.com

父と一緒にオリンピックを目指す!インド映画『ダンガル きっと、つよくなる』ネタバレ&感想

人類史上最も熱い、パパの愛と野望。

本当は映画館で観たかったんですけども機会を逃してしまったため、DVD鑑賞となりました…。

『きっと、うまくいく』『P.K.』のアーミル・カーンが主演と、製作にも関わっているようです。

”きっとうまくいく”の監督&主演再タッグ!映画『PK』感想

今作は、インドの元アマチュアレスリング選手マハヴィル・シン・フォーガットとその娘たちフォーガット姉妹を元ネタとした伝記映画!なので実話ベース!ということですね!

GAGAさんの公式サイトはこちら

トップページにいきなり松岡修造の写真が表示されるのは笑ってしまった。確かに熱い映画ですからね!!!

【映画情報】

【原題】Dangal
【制作国】インド
【監督】ニテーシュ・ティワーリー
【脚本】 ニテーシュ・ティワーリー、ピユス・グプタ、シュレヤース・ジャイン
ニキール・メハロトラ
【製作】 アーミル・カーン、キラン・ラオ、シッダールト・ロイ・カプール
【撮影】サタジット・パンデ
【編集】 バッル・サルジャ
【音楽】プリータム・チャクラボルティー
【出演([]内は役名)】

  • アーミル・カーン[マハヴィル]
  • サークシー・タンワル[ダーヤ]
  • ファーティマー・サナー[ギータ(青年期)]
  • サニヤー・マルホートラ[バビータ(青年期)]
  • ザイラー・ワシーム[ギータ(幼年期)]
  • スハーニー・バトナーガル[バビータ(幼年期)]
  • ギリシュ・クルカーニー[プラモド]
  • ヴィヴァン・バテナ[ハーキンダー]
  • アパルシャクティ・クラーナー[オムカル]
  • シシル・シャルマ[国立スポーツ・アカデミー会長]
  • カームヴィーア・チョーダリー[フォーガットの父]

【公開日(日本)】2018年4月6日
【上映時間】140分
【配給】ディズニー、ギャガ
【映倫区分】G
【IMDB】8.5/10.0  (およそ117,500人の評価)

【あらすじ】

レスリングを愛する男。生活のため選手の道を諦めた彼は、いつか自分の息子を金メダリストにすることを夢見ながら道場で若手の指導に励む日々を送っていた。しかし生まれたのは4人連続で女の子。意気消沈した男は道場からも遠ざかってしまうが、ある日ケンカで男の子を打ち負かした長女と次女の格闘センスに希望を見出し、コーチとして2人を鍛えはじめる。町中の笑いものになっても意に介さず突き進もうとする父と、そんな父にささやかな抵抗を続ける娘たちだったが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

☆3.1/5.0

面白かった!アーミル・カーン扮する父親像が最初はなんとも自己中な男!!という感じを受けたんだけども、話が進むうちに不器用ながらも真っ直ぐに娘たちを愛する姿勢が見えてきて、そんな父を愛さずにはいられない娘たちの気持ちにも胸が熱くなりました。

大まかなストーリー

ハリアーナ州 バラリ

元国代表のレスリング選手、マハヴィル。金メダルが獲れなかった彼は息子にその夢を託したかったが生まれた赤ちゃんは四人全員女の子で夢を諦めざるを得なかった。
ある日、娘二人が近所の男の子をぼこぼこにしたという喧嘩が起きる。それをきっかけに父は「この子たち強いのでは???」と気付き、娘二人をレスラーにしようと決意!

(親というのは絶大な強制力があるなぁ)

彼女たちを強くするために男の子と闘わせたり、たんぱく質が必要だとパパ自ら鶏を料理したりする。

(宗教的な問題があって台所は使わせてもらえないとか細かい演出でも文化を知れる)

娘たちが自分に逆らったら彼女たちの髪をショートに切ってしまう!さすがにそれはやりすぎ!と感じた娘ズはボイコットを決行、しかしたった一日サボっただけで結婚式の場ではたかれる(なぜか甥っ子が)

「あんな父親いらない」と友達に愚痴をこぼすギータ。しかし既婚の娘に「普通の娘は料理と掃除を覚えさせられ家事を押し付けられて14歳になったら顔も知らない男のところへ厄介払いするかのように嫁入りさせられる。あなたの父親は、娘をちゃんと見て将来のことを考えてる良い父親よ」と言われ娘ズは心を入れ替え、レスリングの練習に本気で取り組むようになる。

甥っ子にも勝てるようになったので姉のギータが大会に出ることに。最初は女だという理由で大会側に断られたが、大会側が「待てよ?人が沢山集まれば一人2ルピー選手が何カ月か食っていけるし」という理由で考え直し、客寄せパンダ的な意味で出場が許される。

ギータは負けてしまうが、良い試合をしたという事で特別賞を受賞!優勝賞金より高い賞金をもらう。

(ここら辺の、馬鹿にしてた観客がどんどん魅了されていく演出がイイ!)

どんどん強くなって様々な村で優勝していくギータ。全国大会でも優勝。次は国際大会に出るため、全寮制かな?のスポーツ大学的な学校に入るのがならわし?らしくそこで父と離れ離れになる。

学校で新しい友達を作り自由を満喫し、コーチから「今までの父親の教えは全て忘れろ」と言われどんどん変わっていくギータ。女の子らしく髪を伸ばし実家に里帰りし、彼女の変化に憤慨した父親と喧嘩をし、最後は試合をして父を打ち負かす。

「弱くなったのは父親の方!」そこで父とギータとの間に溝が生まれてしまう。

しかしそんなギータを見た妹のバビータは「私は父を信じ」と反発、ギータを非難し姉妹でも口論してしまう。
学校へ戻ったギータは国際大会に出場。しかし初戦敗退を繰り返してしまう。

そうこうしているうちに妹バビータも強くなり、同じ学校へ入学。

ギータは父親と電話をし、お互い泣きながら和解。
そこから再び姉妹そろって父親に師事してもらうため学校に内緒で朝5時から練習をし、減量しろという学校のコーチの指示にも背いてコッソリ体重を増やしたりする。

しかしその内緒の練習がクラスメイトに見つかり、学校側にチクられてギータたちは退学の危機に。父親の決死の説得で学校側は退学こそさせなかったものの、父親は学校への出入りを禁じられ、姉妹は外出禁止になってしまう。
そんな状況でも諦めない姉妹。自分たちの試合ビデオを父親に送り、受け取った父親は映画館を貸し切ってそのビデオをチェック。「何分何秒のここがこうだからこうしろ」と電話で指導する。

いざ国際大会に再挑戦!コーチとは真逆の指導をする父親は観客席からギータに指示を飛ばす。父親の指示を信じたギータは初戦を勝ち抜く。

しかしコーチがそれを良く思っていない様子。

二戦目に金メダルに一番近いナイジェリアの選手を倒す!次は過去にギータが二度負けてるオーストラリア選手との戦い。

「明日の相手はオーストラリアじゃない。女を下に見る全ての人間との戦いだ」

と父親はギータを勇気づける。

オーストラリア戦の試合当日、コーチが裏で手を引き父親を騙して会場内の物置小屋のような場所に閉じ込め観戦できない状態にしてしまう!
父親の姿が観客席に見えず不安に襲われるギータ。しかしその時、小さい頃父親の厳しい訓練の中で川に落とされたときの事を思い出す。

「お前の窮地を救えない時もある。自分で乗り越えろ」

そう言った父親の言葉を思い出し、ギータは自分を奮い立たせる。
厳しい戦いのラストの5秒間で5点の大技を決めたギータ。金メダルを獲る!!その場にいない父親にも会場内に響く国歌が聞こえギータが優勝したと伝わる!

優勝したギータにマスコミが集まる!これは自分の手柄だと主張するコーチ。
そこへ父がようやく職員に気付いてもらえて監禁状態から解放され、記者たちに囲まれるギータの元へ駆けつける!

ギータは勝利は父親のおかげですと言い、父親はギータに

「お前は俺の誇りだ」

と声をかける。

まとめ

いやー感動しました。特にラストの演出いいですね。父親がいないという場面で自らを奮い立たせるギータは一人の女性として自立を果たしたように見えました。しかしその心の中にはしっかり父親という基盤があるのを忘れていない。

父への感謝と愛を持って父の夢を一緒に追いかけ叶えたギータ。

父親からもしっかりとその努力と実力を認められ、嬉しかったことでしょう。

エンドロールでは元ネタとなったフォーガット姉妹の写真なども見れますよ!

ギータはその後、2012年3月のオリンピック・アジア予選55kg級で優勝し、ロンドン大会にも出場。インドの女子選手として初めて、オリンピック出場を果たしインドの女の子に「女の子でもオリンピックに出れるんだ!」という希望を与えたそうです。

右端がギータ・フォーガット選手!【日本レスリング協会公式サイトより引用】

そういえば全く関係ない話ですが、序盤の方で出てきた、女の子は若くして家事を強要され10代の半ばごろには望んでいない結婚をさせられてしまうという話がありましたね。それを聞いて最近観た『ソニータ』を思い出しました。

https://www.elephant-eats.jp/archives/7781

こちらもイスラムの強制婚のようなしきたりに苦しむ女の子のドキュメンタリーです。興味ある方はぜひそちらもチェックしてみてください。


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画像引用元:映画.com


死なせたくない一心で。ドキュメンタリー映画『いのちの深呼吸 上映&トークショー』感想

この願いは”いまを生きる”わたしたちの希望―――

どうもどうも、ちびぞうです。

こちらの映画は去年の10月21日に、地元のCINEXさんで岐阜新聞映画部の方と行っているコラボ企画イベント的な上映会&トークショーで鑑賞してきましたぁあ!

トークショーに登壇したのは本作品の主人公でもあります根本一徹さん!!

映画のあとにはサイン会(握手付き)も行っていて、ちびぞうもちゃっかり握手させてもらってきました!!!(笑)

…こんなテンションで幕開けしてしまいましたが、とっても重たく真摯で熱い内容の映画となっておりますのでご注意ください。

パンフレットはこのような感じ。

表紙にサイン頂いています。合掌。

著名人のコメント、自殺大国ニッポンの現状を調べた統計や、脳科学者の茂木健一郎さん、精神科医の斎藤環先生などの寄稿があり、映画のパンフレットというよりは「日本人の自殺」に知ることのできる参考資料といった感じ。14Pと頼りないページ数ですが、内容はとても充実しているなと感じました。(お値段書いてない&忘れてしまったので未記載ですいません)

【映画情報】

【原題】 The Departure
【制作国】アメリカ
【監督/製作】ラナ・ウィルソン
【製作総指揮】サリー・ジョー・ファイファー、リリー・ハートレイ、マイク・ラーナー、ダイアン・L・マックス、レジーナ・K・スカリー、ジェフリー・タラント
【共同プロデューサー】エリ・ヨコヤマ
【共同エグゼクティブ・プロデューサー】クレア・シルバーマン
【撮影】エミリー・トッパー
【編集】デビッド・ティーグ
【オリジナル音楽】ネイサン・ミシェル
【挿入曲】クリスチャン・フェネス、坂本龍一
【製作】Drifting Cloud Productions,Roast Beef Productions
【共同製作】ITVS
【製作協力】Artemis Rising Foundation
【出演([]内は役名)】

  • 根本一徹

【公開日(日本)】2018年9月8日
【上映時間】87分
【配給】パンドラ
【IMDB】7.1/10.0  (およそ120人の評価)

【あらすじ】

岐阜県大禅寺で住職を務める根本一徹のもとには、全国の自殺志願者からのメールや電話が昼夜を問わず届く。追いつめられ、誰にも頼ることができないSOSの声を受け、根本は彼らのもとを駆けつけるが、何か特別なことをするわけでもない。ただ話に耳を傾け、彼らとともに食事を摂り、さりげなく寄り添う。そんな根本の存在に安堵した自殺志願者は、少しずつ生きる気力を取り戻していく。実は根本自身にも、身近な人を自殺で亡くした過去があった。そして心臓に病を抱える根本にとって、大量のメールや電話に対応するには心身ともに限界にきていたが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.2/5.0

邦画なのかな?と思ったら監督は外国人!

監督のラナ・ウィルソンは2013年にニューヨークで根本一徹さんの記事を読み、彼の活動に興味を持ったそうです。そして根本さんの行っている自殺志願者向けのワークショップに参加するなど、外側からだけでなく内側からも体験してみるアプローチをしています。

この映画では「人と人のつながり」を描いており、つながりこそが人生に生きる価値を与えるものだとコメントしています。

第三者・傍観者としてではなく当事者の目線で作ろうとしている監督の真摯さも、根本さんに共通する部分だなと思ったりしました。

 

この作品をドキュメンタリー映画として面白いかどうかで考えるのは難しいですね。重いテーマを扱ったドキュメンタリー映画はほかにもありますが、テーマやその主人公として描かれる人物の魅力や強さに圧倒されるものばかりで、もはや”映画”として観れているのかどうかも怪しい。例えば演出方法がーとか構成がーとか色々と言えることもあるのかもしれませんは、ちびぞうは情けないことにそういう面での映画の知識などに乏しく…結局は今回もこのテーマについてどう思うのか、という部分に触れるのみになってしまいそうです。

根本一徹という人物

音楽が好きで、バンド経験もあり、僧侶になった今でも時折クラブに赴いて体を揺らしている。悩める人が助けを乞えばバイクに乗って深夜でも駆けつける。そんなファンキーな一面を持つ根本さんは、岐阜県関市の大善寺の住職。

彼は「旅立ち」というワークショップを自殺志願者のために開いており、その内容は自分にとって大切なものを書き出させ、それを少しずつ取捨選択して捨てさせる。そしてそれが全てなくなった時「これが死です」と告げ、「死んでしまうとはどういうことか」を想像させる・疑似体験させるというもの。実際に横になり、顔に白い布をかぶせて死体のように過ごす場面も劇中でありました。

そのワークショップ以外の活動は、自分の連絡先を公開し日夜問わず連絡してくる自殺志願者の電話やメールに応え、必要であれば直接会いに行く…というもの。

そしてひたすら彼らの話を聞き、受容して、励ます。根気よく、何度も何度も。

彼のこの熱意は、叔父と、高校時代の友人が自殺で亡くなっているところからきているらしい。「なぜ死を選んだのか」と悩み続け、「もう誰も死なせたくない」と強く願う。この願いそのものが、住職の活動に直結しているのだと感じました。

まとめ

ネガティブな感情を常に抱いている人や、人生に対して後ろ向きだったり、大きなトラウマを抱えて苦しんでいる人たちに寄り添って、励まし、彼らの人生を上向かせてあげようと思うことは、わりと多くの人が思う事なのかもしれません。

だけどそれを行動に起こすこと、実際にやってみること、最後まで寄り添い続けることは、とても難しいんです。なぜかと言うと、よほど強い精神力を持った人でなければ自分も疲弊してしまうし、削れてしまうし、共倒れてしまうから。誰だって自分の人生を一番に考えなければいけないし、そうやってマイナス方向に引っ張られてしまうような相手とは関わりたくないと思ってしまうものです。それが非人道的だとか優しくないとかそういうことではなく、生き物はすべて、自己防衛本能というものがあるからある意味それが当たり前というか。

実際、根本さんも無茶をしすぎて体調を崩してしまわれていますし…、自己防衛すべきなのは根本さんだよ!!(でもここまで献身的になれるからこそ偉大になれるのか…)

しかしこの映画を観ていて時々感じたのは、彼自体もどこか病んでいて、「人を死から救う事に囚われすぎているのでは」ということ。自らを犠牲にして人の為に行うのは素晴らしいけれど、その目的が素晴らしいから霞んでいるだけで「己の体や人生を大切にできない」という部分において自殺志願者と共通するものを感じてしまう。

そうやって根本さんが体を病むほどに負担を背負うのは、同じように自殺志願者の心に寄り添おうとする人が他にいないからなのかもしれませんけども。

ちびぞうが最初に言ったように、心を病んだ人に付き添うのは大変なこと。でももしかしたら、根本さんのように活動する人が増えて、みんなが少しずつ誰かの心を分け合うように背負えたら、引きずられて共倒れしてしまう、なんてこともなくなっていくのかもしれませんね。

 

映画を観たあとで、根本さんのお話を聞きましたがとても努力を積んできた人なんだなぁ、と思いましたね。真似できない。映画を観てるだけでは分からないようなお話(自殺志願者が立ち直って元気に生活している話とかとても嬉しい報告的なもの)も聞けて、根本さん自身のことも知れて、その人のことをよく知らないままに(映画の中だけの情報で)色々思うのは早計だなーと。

最後は、人の為に生きられる人にちびぞうもなりたいなぁ。と思いつつ、握手させて頂きました。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

 


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画像引用元:映画.com

イランの少女がラップで叫ぶ!ドキュメンタリー映画『ソニータ』ネタバレ&感想

沈黙のかわりに私は叫ぶ。

どうもちびぞうです!以前もレポートしました、ぎふアジア映画祭で鑑賞しました。

タリバンを逃れて亡命中の少女がラッパーを目指す!というドキュメンタリー映画。

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

元々、イラン映画が好きなのもありましたが最近はちびぞうの中でドキュメンタリー映画がだいぶ熱いので、こちらもかなり期待して鑑賞しました!

公式サイトはこちら

残念ながらパンフはなし。欲しかったなぁ。

【映画情報】

【原題】Sonita
【制作国】スイス/ドイツ/イラン
【監督】ロクサレ・ガエム・マガミ
【製作】アリン・シュミット、カースティン・クリーク、ロクサレ・ガエム・マガミ
【製作総指揮】ゲルト・ハーク
【編集】ルネ・シュバイツァー
【音楽】ソニータ・アリダザー、セパンダマズ・エラヒ・シラジ
【出演([]内は役名)】

  • ソニータ・アリダザー
  • ロクサレ・ガエム・マガミ

【公開日(日本)】2017年10月21日
【上映時間】91分
【配給】ユナイテッドピープル
【IMDB】7.7/10.0  (およそ700人の評価)

【あらすじ】

アフガニスタンのタリバンから逃れてきた難民のソニータ。18歳になる彼女はパスポートも滞在許可証もなく、不法移民として施設でカウンセリングや将来のアドバイスを受けている。児童婚の伝統が残るアフガニスタンに住む彼女の母親は、ソニータを見ず知らずの男性に嫁がせようと、彼女を迎えにイランへやって来る。9000ドル(約100万円)払ってくれる結婚相手が見つかったので、嫁ぐようにと母親から促されるソニータが強制婚を逃れるために起こした行動、それはラップをすることだった。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレもするよ!)】

☆3.9/5.0

これは当たりのドキュメンタリー!!!

面白かったです!!!!泣いた!!!

オープニングはたくさんの子どもたちに自作のラップを聞かせるソニータのシーンから始まります。力強い歌声と、メッセージ性の強い歌詞が印象に残ります。

イランに亡命し、子どもを保護する支援施設で支援を受けながら生活するソニータ。彼女が16歳になるとアフガニスタンに残った母親から「兄の結納金を用意するために自分が用意した男性と結婚しろ」と手紙が。

幼い娘を財産として取引する結婚という文化

古くからある悪習で、アフガニスタンには18歳未満の幼い娘を無理やり結婚させる「児童結婚」や「強制結婚」というものがあるらしい。そして親は相手のおっさん達から結納金としてお金をもらう。アフガンの幼い少女たちは、まるで売り物のように、自分の意思とは関係なく親が決めた相手と血痕させられてしまう。

その背景には、発展途上国の貧困がある。

詳しく記事にしているブログがありましたので参照させて頂きますね↓↓↓

アフガニスタン:今もなお強制結婚の犠牲になる少女たち

今作のドキュメンタリーの主人公であるソニータも母親から結婚を強いる手紙をもらい苦しむ少女の一人。
彼女は自由のために、そして同じように苦しむ少女たちのために自分の想いをラップにして歌う事を決めます。

しかし、それを許さない母親!帰ってこい!と求めます。
兄の結納金が必要だからソニータを結婚させたいらしく、それを延期させたいなら多額のお金を渡せと養護施設に要求してきます(ほんとなんて親なんだ)
しかし、養護施設にそんなお金を要求することも、金銭的支援をするようなことも出来ません。

監督すらも巻き込まれるドキュメンタリー

ここで、ソニータを可哀想に思った今作のロクサレ・ガエム・マガミ監督が、彼女のために資金を出すかどうかという葛藤をし始めます。

ここは凄く難しい問題だな…と思いましたね。助けられるなら助けたいじゃないですか、目の前の少女を。しかし彼女が撮っているのはドキュメンタリー映画。ドキュメンタリーというのはあるがままを撮るべきであって、監督が己の資金を出して主人公の運命を変えるなんて行動はすべきではない。

人間としての自分と、監督としての自分の間で監督も悩んでいました。

しかし、ソニータの才能に気付いた監督は彼女のために資金援助することを決意。

ついでに彼女のMVも撮ります。
そしてその映像が動画投稿サイトにアップされると見る間に再生数が伸びていく!

そしてソニータは、監督の助けを得て、ミュージシャンとしての一歩を歩みだす。

ここの監督の葛藤は、結果「手出ししてしまう」ということになるのですが、しかしこの監督想いや悩む気持ち、ソニータのための苦しみ、そしてその結果の選択そのものも”ドキュメンタリー”だなあ。と感じました。

例えプロが手出ししたとしても、ソニータ自身に力がなければ注目されなかったでしょうしね。

撮る側だった監督が、物語の一部となって動き出すところも、今作の大きな魅力に感じました。

ちなみに以下がソニータが歌う動画です。英語の歌詞がついています。

タイトルは『売られる花嫁』

この目力がすごい。この曲は劇中フルで(日本語歌詞付きで)聴くことができます。ちびぞうはもう号泣でした。

イランで女性は歌えない

いまだ根強い男尊女卑の残るイラン。宗教上の理由で女性は歌手になることができません(人前で歌うことも出来ない)

ここでもまたソニータは苦戦を強いられます!歌で表現したいのに、動画もすごく伸びているのに、歌手として歌うことができない!!

しかし、動画を観たアメリカの非営利団体ストロングハートの人がソニータをアメリカの音楽学校に入学させたいと連絡をしてくれる!!!奨学金も出してもらえるという大盤振る舞い、ソニータにとっては夢を叶える大チャンス!!

最後に立ちはだかる母親の壁

ラストに立ちはだかるのは、お金で娘の結婚延期を承諾した母親の許しを得るという壁。

実家に帰った時、ソニータのラップを家族が聞くシーンはカメラも入っていたためかかなりアットホームというか・・・みんな楽しそうにソニータの歌を聞いていたんですけどね・・・。やはりそう簡単には理解してはもらえないようで。

ソニータは母親に嘘をつき、こっそり出入国のため謄本を取り、渡米。
そしてアメリカの学校から事実を報告・・・母親には電話を切られてしまい、話も出来ない状態になってしまいました。しかし、ソニータは見事アメリカの学校に入学することに成功。

映画の最後には入学先の学校で先輩たちの前で歌を披露し拍手喝さいを浴びるというシーンで終わっていました。

まとめ

シンデレラストーリーのような、ハッピーエンド。

しかし彼女の家族の事を考えると、あまり明るい気持ちにもなりきれません。

この現代日本でのほほんと暮らしているちびぞうにとって、こんな世界があるのかと衝撃を受けました。そして、悲惨な世界に生きている少女たちの凄さにも感銘を受けました。

彼女の眼の力は本当にすごい。こうして記事で読むだけでは感じられない少女たちの現実をぜひ、映画本編で知って欲しいと思います。

 

 

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画像引用元:映画.com

 

平手友梨奈、初主演映画『響』感想

この天才、ヤバい。

アイドル関係にはとても疎いちびぞうですが、元AKBの前田のあっちゃんと、欅坂46の平手のゆりなたんはわりと好きです!!!特に前田のあっちゃんは演技が良くて・・・彼女が出演した『もらとりあむタマ子』が大好きです!!

ゆりなたんは「風に吹かれても」のMVで短髪×メガネ×スーツ姿がドンピシャでして!!!一目惚れしてしまいました><

そんな彼女の映画初主演ともなれば、原作の漫画は全く知らないけども観てみたくなるわけじゃないですか!!!!ということで行って参りました!!!

ちなみにこちらの映画、かなりキャストが豪華です!直木賞・芥川賞に挑む崖っぷちの作家役に小栗旬、主人公の鮎喰響を導く女編集者役に北川景子、編集長役に高嶋政伸、それぞれ端まで良い役者が安定した演技力で映画を支えていましたね~。

パンフはこんな感じ。

B6?サイズかな?

小さめ、少し厚さもあり本っぽい装丁ですね。34ページ税抜き667円。
原作者の柳本光晴先生と月川翔監督の対談や、衣装や小物についての美術チームのノート、ゆりなたんが歌う主題歌の歌詞など、なかなかボリューミーな内容でした!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】月川翔
【脚本】西田征史
【原作】柳本光晴「響 ~小説家になる方法~」
【製作】市川南、竹中幸平
【スーパーバイザー】秋元康
【エグゼクティブプロデューサー】山内章弘
【プロデューサー】神戸明
【企画】小野田壮吉
【撮影】鍋島淳裕
【照明】かげつよし
【録音】柳屋文彦
【美術】五辻圭
【衣装】新崎みのり
【ヘアメイク】百瀬広美
【編集】稲垣順之助
【音楽】伊藤ゴロー
【出演([]内は役名)】

  • 平手友梨奈[鮎喰響]
  • 北川景子[花井ふみ]
  • アヤカ・ウィルソン[祖父江凛夏]
  • 高嶋政伸[神田正則]
  • 柳楽優弥[田中康平]
  • 北村有起哉[鬼島仁]
  • 野間口徹矢[野浩明]
  • 小松和重[藤野弘]
  • 黒田大輔[大坪正人]
  • 板垣瑞生[椿涼太郎]
  • 吉田栄作[祖父江秋人]
  • 小栗旬[山本春平]
  • 笠松将[塩崎隆也]

【公開日(日本)】2018年9月14日
【上映時間】104分
【配給】東宝
【映倫区分】G
【IMDB】7.6/10.0  (およそ30人の評価)

【あらすじ】

出版不況が叫ばれる文芸界。文芸雑誌「木蓮」編集部に一編の新人賞応募作が届く。応募要項を一切無視した作品のため、破棄されるはずだったその作品に編集者の花井ふみが目を留めたことから、状況は大きくは変わり始める。「お伽の庭」と題されたその小説は、15歳の女子高生・鮎喰響によって書かれたものだった。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレなし)】

☆3.5/5.0

天才的な文才を持つ女子高生・鮎喰響と彼女の入部する文学部(形だけ)の生徒たちとの人間関係、そして彼女の作品に魅入られた編集者、直木賞・芥川賞に挑む作家たちを巻き込んだ青春アリの人間ドラマ!

原作の漫画を読んでないので前知識はゼロで挑みました。

最近、太宰治の「人間失格」を読んで泣いたちびぞう的にもの凄くタイムリーな作品でした。

主人公・響のキャラクターはあまりにも非常識で感情に正直すぎて「なんだこの動物は」と思ってイラついてしまってなかなか入り込めなかったし、劇中で響の書く作品の凄さみたいなものを観客にも感じさせられるような演出が何もないので彼女の異端さだけが目に余ってしまい。しかも結局は飛びぬけた才能があれば何しても許されるんかい!!!って感じのオチでお話自体は微妙だったんです(ゆりなたんの演技も演技なのか素なのかどうか判断しにくいところで、すごいのかすごくないのかいまいち分からないという・・・)

しかし記者に対して「世の中の意見ではなく貴方の意見を聞かせて」と話をする場面でアッ!これは人間失格で「世間とは”個人”の事なのだ」って書かれてた場面と似ている!!と思ってハッとし、そして小栗旬との最後の踏切でのやりとりで太宰のセリフが登場し一気にテンションがダダ上がりしてしまったんですよね!

そこからゆりなたんのキャラが動物的だったのは「人間的本能に従うほど世間から隔絶されていった大庭葉蔵(人間失格の主人公)とリンクさせているんだな」としか思えなくなり!そうするとイラついていた気持ちも不思議と昇華され!
太宰の遺した言葉に希望を持たせる脚本にとても感動してしまって・・・。
響の中に、今も小説家として生き続ける太宰(ヒーロー)の姿を見たんです。号泣でした。

ちびぞうは小説をあんまり読まないので、にわかで更に安易な感想かもしれないけど本当にタイムリーだした!!!

映画としてはまぁまぁ、でも個人的には凄く泣ける場面があって評価上乗せ。そんな感じでした。

 

どうでもいいけど小栗旬の、何度も賞レースに挑戦してもう後がない、みたいな崖っぷち作家の役が凄く良かったなぁ。小栗旬はもともとそんなに好きな俳優さんではなかったのですがちょびっと好きになりました。彼が劇中で書いた『豚小屋の豚』も読んでみたい!!

 

 


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画像引用元:映画.com

少年はなぜ死にかけるのか?映画『ルイの九番目の人生』ネタバレ&感想

「9年間で9度死にかけた少年」
その運命に隠された秘密を解き明かせるかーーー

『怪物はささやく』という映画が良かった!と知り合いに話したらこちらの映画を紹介して頂きました。父と息子の映画で感動的ということでレンタルしてみた今作。

このジャケットだけでもかなり惹かれますねーーーーーー!!!!

監督は『ハイテンション』『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャ!ホラー映画で名を馳せた監督のファンタジー?ヒューマンドラマに興味津々のちびぞうです!!(まぁその二本どっちもまだ観てないんですけど・・・すいません・・・『マニアック』なら観ました。最高に好きです。)

主演のエイダン・ロングワースくんもとっても可愛らしいですね。彼は『X-ファイル』やドラマ『スーパーナチュラル』、『アンデッド』などでも活躍していた将来有望な子役さん!!

更に母親役のサラ・ガドンは『最も美しい顔ランキング』の常連だそうで・・・この二人を見てるだけでも眼福な予感。

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】The 9th Life of Louis Drax
【制作国】カナダ・イギリス合作
【監督】アレクサンドル・アジャ
【脚本】マックス・ミンゲラ
【原作】リズ・ジェンセン「ルイの九番目の命」
【製作】ショーン・ウィリアムソン、アレクサンドル・アジャ、ティモシー・ブリックネル、マックス・ミンゲラ
【製作総指揮】ザンヌ・ディバイン、ローザンヌ・コーレンバーグ、ジョナサン・キーア
【撮影】マキシム・アレクサンドル
【美術】レイチェル・オトゥール
【衣装】カーラ・ヘットランド
【編集】バクスター
【音楽】パトリック・ワトソン
【出演([]内は役名)】

  • ジェイミー・ドーナン[アラン・パスカル]
  • サラ・ガドン[ナタリー・ドラックス]
  • エイダン・ロングワース[ルイ・ドラックス]
  • オリバー・プラット[Dr.ペレーズ]
  • モリー・パーカー[ダルトン刑事]
  • ジュリアン・ワダム[ジェネク医師]
  • ジェーン・マグレガー[ソフィー]
  • バーバラ・ハーシー[ヴァイオレット]
  • アーロン・ポール[ピーター・ドラックス]

【公開日(日本)】2018年1月20日
【上映時間】108分
【配給】松竹
【映倫区分】G
【IMDB】6.3/10.0  (およそ11,850人の評価)

【あらすじ】

少年ルイ・ドラックスは、大変な難産の末にこの世に生を受けてから、毎年のように必ず事故にあい、そのたびに生死の境をさまよってきた。そして9歳の誕生日に崖から転落したルイは、ついに意識不明の重体になってしまう。担当医のパスカルは必死にルイを救おうとするが、両親やパスカルなど周辺の人々の身に、不可解な出来事が次々と起こり……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.5/5.0

これは泣けます!!!!!そして泣ける中にもきちんとホラー要素が散りばめられていて、ホラー映画監督ならではのヒューマンドラマらしさというか、味のある作品になっていると思います!!

父と息子の絆が好物な映画ファンの方は飛びつくこと間違いなし!!!

おおまかなあらすじ

ルイの独白から始まる。事故多発少年だということを自己紹介してくれる。

逆子だったので帝王切開することになった胎児の頃から、何度も何度も死にかけているルイ。食中毒なんて年中。しかしなんとか生き抜いたルイは9歳になった。

誕生日に母と父とピクニックに行ってルイは崖から落ちる!!!
そのピクニックでの独白でルイが「(両親の?)愛が戻ったようだった」と言うことから家族はうまくいってなかった?ということが予測される。

暗転。
猫は九つ命がある。それと同じで毎年命を落としてる。もう命を使わないでという母親の言葉。何者かの声が聞こえて「これはお前の9番目の命だ。事故多発少年のミステリーを一緒に解こう」と言う。

 

ピクニックのバスケットやレジャーシートなどはそのままで、三人が消えている。父親は事故後に姿を消し失踪、指名手配され捜索願を出されているらしい?ルイは海から引き上げられて病院へ、母親もいる。生体反応も瞳孔反射、動脈派もなし。医師によって死亡確認。

場所は変わってどこぞのホールのようなところで拍手喝さいを浴びる男(パスカル医師)。何かの講演会のようで、夢遊病だった子ども時代の話をしている。「人間の脳はただのパーツではない。脳が傷付いても、心は通わせることが出来る」と語っている。

病院ではルイが息を吹き返す!(二時間死んでたらしい(笑))小児の低体温症は死亡と酷似してるんだって!(それで誤診ひどい!)
ルイは全身の骨がボキボキに折れてるけどかろうじて生きてる、しかし昏睡状態。

昏睡病棟に入るルイ。崖から突き落としたのは父親らしい!!?と警察は考えている様子。

同時進行でルイが元気だったころのセラピーの場面がはさまれる。ペレーズ医師は自傷行為(ルイが自分で自分をわざと危険な目に遭わせている)の可能性もあると考察。

 

かつてシーワールドに父親と行った時の思い出の場面をルイの独白で語られる。

そこには謎の女が登場。父親の浮気相手か元カノかと思ったら元奥さんだったー!父親に「このことは内緒にしよう」と言われたのに帰宅後、母親に話してしまうルイ。両親は喧嘩。
「二人は愛し合ってないから別れた方が良いし別れたがっているけど僕がいるからできないんだ」とルイ。

ルイは自分の飼っているハムスターを殺した。処分権だと言う。ペットが平均寿命より長く生きたら殺せるルールがあるとルイは語る。

ルイは父親を本当の父親じゃないとか言う。

回想シーンが終わり、パスカル医師がルイの元へやってくる。途中でルイの母親とのロマンスが差し込まれる。

パスカル医師が昏睡状態のルイに本を読んであげようとすると、何かの気配を感じる。床が濡れていてわかめのようなものも床に落ちている。それをたどっていくパスカル医師。
「生きている海」を思わせるバケモノの、幻想的で恐ろしいそれはパスカル医師の夢だった。

医師の元にルイが書いたような筆跡の手紙が届く。内容は「パスカル医師との関係を断て」と言ったもの。母親は夫がルイの筆跡を真似てポストに入れたと言う。

パスカル医師がセラピストを訪ねると、セラピーを打ち切った医者にルイから手紙が届いたと言う。それにはハムスターのフン入りで「秘密を母親に話した」ことを怒っている内容。

父親(ピーター)は本当に実の父親ではなかった、かつてルイの命を救いそのまま病院に付き添った時に母親と出会い、元の奥さんを捨てて母親と一緒になった、ということらしかった。
しかし母親はルイを養子に出そうとしていた!

手紙の警告を破って結ばれるパスカル医師と母親。(なんか違和感が拭えない)

母親は「ピーターには奥さんがいたけど愛していたのは私なの」と語る。

ピーターの死体が見つかる。ピーターの母親がやってきて、あの女(ルイの母親)は何でも嘘をつくと語る。

昏睡状態のルイの夢の中に現れたバケモノは三匹の蝙蝠の話をする。
よく笑うメスとよく泣くメスがいて、よく泣くメスを選ぶオス。よく泣くメスは周りの人間に同情してもらうのが好きだったから泣いてたらしい。しかし、オスは「蝙蝠の子供の父親になれたからよかった」と言うお話だった。

ピーターはルイが崖から落ちたあと、同じように崖から落ち、その後1~2週間は海産物を食べながら生きていたが洞窟で肺炎を起こし死亡。

手紙の筆跡が誰か分かった。パスカル医師のものだった!彼は無意識に致死量の薬の処方箋を出していた。昏睡の状態から夢遊病の自分をルイが操ってると言いたいらしい。

催眠術でパスカル医師の無意識の中に入りルイの意識と会話させようという試みが行われる。

パスカル医師を通してルイの口から遂に真相が語られる。

毎年のようにルイが事故に巻き込まれ命を失いかけていたのは全て母親が周りから同情を買うためにやっていたことだった。そんな母親のためにルイは自ら崖から身投げした。

ルイは母親を憎んでいて、父親を愛してたということも分かる。

昏睡状態のルイの意識の中に現れていたバケモノの正体は、父親だったということも判明。

父親は血のつながりはないがルイを誰よりも愛していたと語る。

昏睡した意識の中で、ルイは父と対話し、明るい方へ歩んでいく。そして意識を取り戻す。

母親は精神病棟に入れられるも、そのお腹は大きく膨らんでいた・・・(パスカル医師との子どもができてしまっていた)

物語の解説

文章だけで物語を追っていくと、回想シーンやら何やら時系列もバラバラでちょっと分かりにくかったかと思います。大きく分けるとシークエンスは二つ。

  • ルイのかつての人生についての場面
  • ルイの昏睡中の場面

パッと見は血のつながりのない父親がルイを突き落とし逃走、母親が新たな出会いを見つけるのに嫉妬して脅迫の手紙を出している・・・という感じで見えるんですけども、真相は真逆。

母親の方が悪だった。父親はルイを守ろうとしていたし、死にかけながらもルイの意識の中に化け物の姿で現れて彼を救おうとしていた・・・というお話。

あの手紙はルイが医師を母親から守ろうと夢遊病中にやらせたことだったんですね!

どんでん返しと言えばどんでん返し。

感想

血のつながりのない父親があそこまで息子を愛せるのはなぜなのか?と思う部分はあまり描かれていないので、そこがしっくりこないと物語に入り込めないかもしれません。

そもそも奥さんがいたのに、彼女を捨ててまで母親を選んだのは、美しい母親に惹かれたわけではなくルイを息子として愛したから…という理由なのですさまじい。

しかし最後の父と息子の対話のシーンは最高に美しく

「愛してるよ 町全体よりも 海の魚全部よりも」

という台詞で涙腺崩壊。

そしてラストで母親がまた身籠っている!!!(悲劇はまだまだ終わらないんだぜ…)というところに人間の恐ろしさを感じてゾクッとさせられますし、ちびぞう的にはしっかりと父と息子の絆を描いて感動させつつも怖がらせる心を忘れていない監督の遊び心にやられた…という感じ。

(この美しさが恐怖を煽ります)

どんでん返しと言っても途中から母親が怪しく見えてくる作りになっていると思うので、正直そこはそんなにメインの要素でもないのかな。

じっくりと、恐怖の真実へ向かって進んでいく。そんな感じの作品でした。

映像の美しさ、少年の美しさ、父の愛の美しさに泣けること間違いなし。

 


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画像引用元:映画.com

4トンの壁に描かれた高額の落書き。映画『バンクシーを盗んだ男』ネタバレ&感想

“A WALL IS A VERY BIG WEAPON IT’S ONE OF THE NASTIEST THINGS YOU CAN HIT SOMEONE WITH.”

最近、東京でバンクシーのものと思われるグラフィティが防潮扉に描かれていて「誰かが持っていくと危ないから」と撤去されたニュースがありましたね!

その前にはザザビーズにて高額で落札されたバンクシーの絵が落札直後にシュレッダーにかけられるという衝撃的なニュース(額縁にシュレッダーがはめ込まれており”落札された絵が刻まれる”というところまでがバンクシーの意図)もありまして、ちょいちょい日本で普通に過ごしていても日常の中で「バンクシー」という名前を聞くようになってきました!

ちびぞうはネットでチラッとバンクシーの絵を見たことがある程度で『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を視聴し、バンクシーのファンになったにわかです(笑)
その後に観た『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』も最高でしたね・・・

今回は以前、ミニシアターを紹介する記事にて書いたヒューマントラスト渋谷さんでの鑑賞でした!

ヒューマントラストシネマ渋谷:東京【素晴らしきミニシアターの世界】2館目

前売り券に、特典でトートバッグがついていたので前売り券を購入しました!トートバッグはこんな感じ。

 

大きさはおよそ33cm×26cmほど。材質はこれは布でなく紙…?ポリエステル…?的な。ツタヤとかゲオのレンタル袋と似たような感じです(笑)あんまり使い勝手良くなさそう!!(笑)

パンフはこんな感じ!

なんと、指定された席でくじ引きが行われ抽選に当たると非売品のTシャツがもらえるというキャンペーン?をやっていました!

この日は一緒に観る友人が遅れてくるということだったのでちびぞうが先に席を取り、そのあと友人が私の隣の席を取ったんですよね。

そしたらなんとその友人がTシャツを当ててしまったー!!!!!!ずるい!!!私が選んだ席の隣だったから当たったのでこれは私のTシャツでは!?!と思ったんですが大人げないので大人しく「ずるい!!!(大人しくない)」と騒ぎました。Tシャツは譲ってもらえませんでした。ずるい。

ちなみに当たったTシャツのデザインはこんな感じでした。

↑表

↓裏

【映画情報】

【原題】The Man Who Stole Banksy
【制作国】イギリス、イタリア
【監督】マルコ・プロゼルピオ
【脚本】マルコ・プロゼルピオ、フィリッポ・ペルフィド、クリスティアン・オモデオ
【撮影】ヤコポ・ファリーナ
【編集】ドメニコ・ニコレッティ
【音楽】フェデリコ・ドラゴーニャ、マッテオ・パンサーナ
【ナレーション】イギー・ポップ
【出演】

  • ロン・イングリッシュ[現代アーティスト]
  • スティーブ・ラザリデス[バンクシーの元マネージャー]
  • ステファン・ケスラー[収集家]
  • クリスチャン・オモデオ[芸術史家]
  • ベラ・バブウン[撮影当時のベツレヘム市長]
  • パオロ・ブッジャーニ[芸術家/パフォーマー/収集家]
  • フィリップ・トイヒトラー[収集家/芸術家]
  • カミッロ・タロッツィ[修復家]
  • ワリド・”ザ・ビースト”・ザワラー[タクシー運転手]
  • アブ・ヤメン[BANKSY’S SHOP店主]
  • マイケル・カナワティ[壁の元持ち主]

【公開日(日本)】2018年8月4日
【上映時間】93分
【配給】シンカ
【映倫区分】G
【IMDB】6.1/10.0  (およそ23人の評価)

【あらすじ】

パレスチナ・ヨルダン西岸地区にあるベツレヘム。紛争地区に指定されているその場所にはパレスチナとイスラエルを分断する高さ8メートル、全長450キロを超える巨大な壁が存在する。その壁にバンクシーが描いた「ロバと兵士」の絵は、パレスチナの住民たちの反感を買い、絵が描かれた壁はタクシー運転手のワリドによってウォータージェットカッターで切り取られてしまう。ワリドはその壁画をオークションに出品し、最高額の入札者への売却を試みるが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレなし)】

☆2.3/5.0

うーん。今までのバンクシー関連のドキュメンタリー映画の中では一番「あんまりだな・・・」って感じでしたね。

イギーポップの渋すぎるナレーションは良かったです!!!

なんというか、言いたいことは分かるんですよ!!!

パレスチナとイスラエルの壁に描かれたアートというかグラフィティという名の違法の落書き。おそらくバンクシーは己の落書きの世間的な価値を知っていてそれが消される(もしくは切り取られる)ことでその壁を崩すという事に世界の目を向けさせたくて行ったプロジェクトなわけで。

その壁に描かれた「兵士とロバ」という絵が地元住民の怒りを買い、それを切り取ったワリドという地元の男がネットオークションに4トンものコンクリートの壁を出品するという展開から、ワリドが本作の主人公として物語が語られるわけですが。

アートというカテゴリーの中にバンクシーの落書きを無理やりはめ込もうとする人たち、4トンものコンクリートの壁が絵画として高額で落札される事実。それに振り回される地元住民。

アートとは?グラフィティとは?それを取り巻く国の歴史的背景とは?

とても考えさせられる部分がたくさんあるんですけど、なんといっても

映画の構成がくどい!!!!

ちびぞう的にはこのくどい構成がダメでした・・・。93分間とそんなに長くはない映画なんですけど、長く感じる。沢山の人が出てきて意見を言うんですけど、大体の人が同じような話をするんですよ。

うんうんそれね、分かった分かった・・・という気分で観なければならず・・・。残念でした。こちらの映画はこれ単品で楽しむんではなく、今までに出ているバンクシーのドキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』を観てからの鑑賞をオススメします!その方がバンクシーという人物についても知った上で、この国の現状だったりアート界の現状だったりに視点を向けて考えられると思うので。

以上、感想短めですがネタバレがどうのという作品ではないのでこれにて!

ここまで読んで頂きありがとうございました!ちびぞうでした!

 

 


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宇宙人から夫を守れ!映画『予兆 散歩する侵略者』ネタバレ&感想

「もうすぐ世界が終わるとしたらどうする?」

前回の記事に引き続き、散歩する侵略者の感想を書いていきたいと思います!

夫がある日、宇宙人に変わっていたら。映画『散歩する侵略者』ネタバレ&感想

しつこく、ぎふアジア映画祭のリンクも貼っておきます(笑)

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

今作は映画『散歩する侵略者』のアナザーストーリーとしてWOWOWで公開された全5話のドラマを劇場版として140分にして公開されたものになります。なので、続編というわけではなく、スピンオフといった感じ。

ちなみに散歩する侵略者の方で神父役として登場している東出さんは、今作で侵略者役をしています。同じ役者が別の役として出てくることを考えると、同じ設定、同じ舞台の全く別の作品として考える方がよさそうですねー。

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】黒沢清
【脚本】高橋洋、黒沢清
【原作】前川知大(劇団イキウメ)
【製作】大村英治、三宅容介
【企画/プロデュース】青木竹彦
【撮影】芦澤明子
【美術】安宅紀史
【編集】高橋幸一
【音楽】林祐介
【助監督】西山太郎
【出演([]内は役名)】

  • 夏帆[山際悦子]
  • 染谷将太[山際辰雄]
  • 東出昌大[真壁司郎]
  • 中村映里子[斉木葉子]
  • 岸井ゆきの[浅川みゆき]
  • 安井順平[小森医師]
  • 石橋けい[川内和代]
  • 吉岡睦雄[野上]
  • 大塚[ヒロタ警官]
  • 千葉哲也[浅川保]
  • 諏訪太朗[田岡]
  • 渡辺真起子[粕谷の妻]
  • 中村まこと[粕谷]
  • 大杉漣[西崎]

【公開日(日本)】2017年11月11日
【上映時間】140分
【配給】 ポニーキャニオン
【映倫区分】G
【前作というかアナザーストーリー】夫がある日、宇宙人に変わっていたら。映画『散歩する侵略者』ネタバレ&感想
【IMDB】5.8/10.0  (およそ200人の評価)

【あらすじ】

「家に幽霊がいる」という同僚・浅川みゆきの精神状態を心配した山際悦子は、夫の辰雄が勤める病院の心療内科へみゆきを連れていく。診察の結果、みゆきには「家族」という概念が欠落していることがわかり……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよーー)】

☆2.4/5.0

本家の方と比べると、こっちの方がSF感あったかもしれません!!

散歩する侵略者は夫婦の愛がテーマになっていて、夫に乗り移った侵略者が愛を学んでいくというのがおおまかな流れでした。しかし今回は「夫が侵略者のナビゲーターに選ばれてしまう。夫を侵略者から守らねば!」という展開になっていくので、より侵略者が侵略者っぽくなってホラーっぽさが増しています!

今作でラスボス的な侵略者を演じるのが東出昌大さん。背が大きくて圧迫感?威圧感か。もありますし、その棒読み的な演技が人外っぽさを演出しておりイイ感じです。

黒沢監督と脚本高橋さんのトークイベント

今回、ぎふアジア映画祭で黒沢清監督と共同で脚本を担当された高橋洋さんのトークイベントも行われていましたので、そこで聞いたお話をいくつか紹介していきたいと思います。

  • 低予算で頑張った!
    まずはこれ。かなり低予算だったということを何度かおっしゃられていましたね。なので出来るだけお金をかけずに演出したというポイントを観て欲しいそうで(笑)、東出さんが病院で登場するシーンでは何秒か先に自動ドアが勝手に開く・・・という演出や、夏帆さんが何か得体のしれないものを察知するシーンで揺れていた鏡は実際にはそこにはなく、演出で造られたものであり、後ろに人がいて揺らしていた・・・という演出、それから病院内を歩く東出さんの周りの人間がバタバタ倒れていく・・・という場面もいかに予算をかけずに侵略者の能力を表現するか、という苦心の策だったという数々のお話が聞けました。

  • SFだし細かいことを気にしてはいけない
    色々と突き詰めて考えて行けば矛盾点や疑問が浮かぶ場面もちょくちょくあるのですが、お二人に言わせてみれば「地球外の人達の価値観で行っていることや、宇宙での理屈に人間の理解が及ぶわけがない」とのことで深く考えてはいけないと。まぁおっしゃる通りですけどね!!
  • 銃にこだわりが
    こちら、質問者さんからの「銃は監督が指示しているのですか」という問いの答えだったんですが(銃は全て監督が指示しているようです)、ラスト付近で東出さん扮する侵略者が夏帆さんと対決するシーンで使われていた銃をいかに本物っぽく見せるかこだわっていて、黒くテカテカするように銃にだけ照明がいくつもあてられていたらしいです(笑)
  • 風の演出が美しい
    こちらもお客さんからの質問コーナーで、「監督の映画はいつも”風”の表現にこだわりがありますが、今回の映画でも風の演出にはこだわっていたのですか」といった問いがあり、それに対してのお話の中に「染谷さんと夏帆さんがベランダで抱き合うシーンでふわりと漂うカーテンは本当にその瞬間吹いた風がつくったもの」とありました。とても綺麗なシーンで、計算された美しさのように見えたので作られたものではなく自然に吹いた風だということに少し驚きました。監督はタイミングの運のようなものも持っているのかもしれません(笑)

これ以外にも、ラストのオチは監督ならではだと高橋さんから説明があったり、二人の掛け合いが面白かったですね。高橋さんは少し独特な雰囲気があって、質問から思考がどんどん飛んで行って最終的に違う話になっていた…みたいなことがよくあり、監督がちょっぴり助け舟を出したりして方向修正をしていたりと微笑ましかったです(笑)

まとめ

旦那である染谷さんはほとんどが指輪物語の終盤でいうところのフロドのように唸ったり苦しんでいる場面ばかりだったので、実質夏帆さんが夫のために頑張る主人公、という感じでした。

なんだかんだ言って、やっぱり『散歩する侵略者』の方が好きだったかなぁ。同じテーマでも全く毛色が違うホラーテイストになっている本作よりも、愛や人間というものを考えさせてくれるオリジナルの方がちびぞうは好きでした。

これも、ドラマ版を縮めた作品なので、ドラマ版の5話を観てみると、また違った印象で楽しめるかもしれませんね。

 

 


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画像引用元:映画.com

夫がある日、宇宙人に変わっていたら。映画『散歩する侵略者』ネタバレ&感想

世界は終わるのかもしれない。それでも、一緒に生きたい。

こんにちは、ちびぞうです!

今作は、去年に書きました『ぎふアジア映画祭』のレポ記事内で”予兆”の方を観まして。その予兆を観るのに予習した方がいいかな?と思い慌てて借りてきて鑑賞したものになります。

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

監督はちびぞうもファンの黒沢清監督。主演は旬真っ盛り!な長澤まさみと、松田龍平。ちびぞうの大好きな長谷川博己さんも助演しています!!!

元々(原作)は舞台作品だったようですね。

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】黒沢清
【脚本】田中幸子、黒沢清
【原作】前川知大(劇団イキウメ)
【製作】中山良夫、永山雅也、大村英治、大角正、薮下維也、三宅容介、大柳英樹、松田美由紀、桜井良樹
【エグゼクティブプロデューサー】門屋大輔、千葉善紀、青木竹彦
【企画プロデュース】石田雄治、藤村直人
【撮影】芦澤明子
【照明】永田英則
【録音】渡辺真司
【美術】安宅紀史
【編集】高橋幸一
【音楽】林祐介
【出演([]内は役名)】

  • 長澤まさみ[加瀬鳴海]
  • 松田龍平[加瀬真治]
  • 高杉真宙[天野]
  • 恒松祐里[立花あきら]
  • 長谷川博己[桜井]
  • 前田敦子[加瀬明日香]
  • 満島真之介[丸尾]
  • 児嶋一哉[車田]
  • 光石研[鈴木]
  • 東出昌大[牧師]
  • 小泉今日子[医者]
  • 笹野高史[品川]

【公開日(日本)】2017年9月9日
【上映時間】129分
【配給】 松竹、日活
【映倫区分】G
【関連作】予兆 散歩する侵略者
【IMDB】6.0/10.0  (およそ1,000人の評価)

【あらすじ】

数日にわたって行方がわからなくなっていた夫・真治が、まるで別人のように優しくなって帰ってきたことに戸惑う妻・鳴海。それ以来、真治は毎日どこかへ散歩に出かけるようになる。同じ頃、町で一家惨殺事件が発生し、不可解な現象が続発。取材を進めるジャーナリストの桜井は、ある事実に気づく。不穏な空気が町中を覆う中、鳴海は真治から「地球を侵略しに来た」という衝撃的な告白を受ける。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆2.7/5.0

まずこの映画はオープニングがなかなかハイセンスだったというか、さすが黒沢清監督!!って感じでした。ちょっとうろ覚えなんですが

「オープニングの五分間で”この映画の内容はこんな感じなのよ”と表現できている作品が素晴らしい」

と誰かの言葉がありまして。この映画のオープニングはこんな感じ↓

金魚すくいのシーンから始まる。金魚を手に歩く女子高生の後ろ姿。
静かな住宅街に突然の老婆の悲鳴。勝手口から逃げようとする老婆が何者かに引きづられて玄関の中へ戻される。血まみれの家の中、女子高生が血だらけで立っている。手についた血を舐め、血だらけのまま外を出て田舎道を歩く。(まるで何気ない散歩をしているよう!)
横転するトラックと乗用車がぶつかるのをバックに笑う女子高生(立花あきら)。

「開始5分でタイトルを回収するオープニング!」

どうですか、お見事じゃないですか!?おそらく女子高生は何者か(宇宙人?)に乗り移られているんですよね!この一連のシーンはちびぞうのクソみたいな文章ではなく映像で観るとすごく格好いいんですけどね・・・説明しきれてる気がしない・・・。

おおまかなストーリー

病院に保護されたという夫(真治)を迎えに来た妻(鳴海)。夫はまるで別人のように変わってしまっていたらしい。若年性のアルツハイマーか事故による人格の変化だと医者は言う。
しかし妻は夫に対して怒っている様子。夫は最近不貞を働いていたのがバレていたかららしい。夫婦関係は終わっていると言われ夫は妻に突然「ガイドになってくれ」と意味不明なことを頼む。

「分からないことも多いし一人では道もまともに歩けない」と言う夫は天気予報の番組を観ながら動きの練習をしている(どう考えても宇宙人に乗っ取られてる!!)

桜井(長谷川博己)登場!週刊誌の雑誌記者らしい!米軍基地も自衛隊も1週間取材拒否していて、どうも何か起こっているようだと桜井は予想している。
彼はオープニングで殺された家族の取材に。そこに生き残った女子高生(立花)を探している男の子(天野)がやってきて「目的は地球の侵略」だと言われる。

夫婦(真治と鳴海)の元に鳴海の妹、明日香(前田敦子)がやってくる。親と喧嘩したので泊めて欲しいらしい。義理の兄(真治)がおかしくなってしまったので「家族」という概念について教える妹。真治が「それいいね。もらうよ」と言って人差し指を彼女の額に当てると、妹は突然おかしくなってしまう。急に帰る、と言い出す妹。

場面は変わって桜井と天野組のシーン。天野君の家に招かれる桜井。天野君のご両親は抜け殻みたいになってる。色々と”概念”を奪ったかららしい。彼らがガイドと呼ぶ人間からは奪わないと言う。
言葉の根本にある概念を奪うと、奪われた側はそれを失ってしまうらしい。(でもこれ、奪われる側の言葉の概念が間違ってたらそのまま間違って伝わるってことだよね?というかこんな子供の戯言にライターが付き合う必要なんてないのに!!!)

地球人は地球の支配者だと思い込んでるとか色々言われる。地球はほっといてもあと100年くらいで滅びるらしい。

鳴海は大きい仕事をもらえるが、上司にセクハラを受ける。

真治は鳴海の理想の夫になると宣言する。人類の前に自分(真治)のことを理解し、彼を作り直す気らしい。(ちょっとここらへん『PK』に似てるなー。人間を学んでいく宇宙人)

真治は鳴海が家から出るなという言いつけを破って近所を散歩。近くに住む男から『所有の”の”』という概念を奪う。すると結果的にその男は引きこもり状態から脱することに!(笑)
その後も散歩してたら犬にかまれる真治。やっぱりガイドが必要だと鳴海の事を信頼できるパートナーと言う。鳴海も少しずつ、変化した真治を受け入れていく。

立花さんは警察に保護されてるっぽい。彼女を見回る役の刑事もちょっとどこかおかしくなっている様子。誰か?と問われると自分は自分だよって言う。
立花さんがいる病室に簡単に入っちゃう桜井と天野。その後、意味の分からない格闘シーンが繰り広げられる。
刑事から”自分と他人”という概念を奪うと、どこか清々しい顔を見せる刑事。

立花さんと天野くんが合流すると、もう一人いる侵略者(真治)を見つけるために情報を仕入れて来いと桜井に指示する。これから通信機も作るから材料を仕入れて来いとも言われる。桜井は彼ら宇宙人の記事を本気で書くつもりになっている。

場面変わって鳴海の職場。真治は妻を締め付ける”仕事”の概念を上司から奪って彼女を救う。そこでようやく鳴海に自分は宇宙人だと打ち明ける!
元の真治は今、眠ってもらっていて、彼の記憶とかを引き継いで宇宙人が新しい加瀬真治になったと言う。彼ら宇宙人の本来の姿は地球人には見えないらしい。目的は、人間の”概念”を集めること。

桜井に厚生労働省の者だと名乗る男が近付く!新型のウイルスに立花が感染しているという話をしてくる!(でも本当に厚生労働省の男かどうか怪しい)
宇宙物理学者が自衛隊と一緒に行動しているところを目撃する。
立花が警察に見つかり、彼女は警察を容赦なく殺す!桜井は彼女たちにインチキだってキレたり、だいぶ動揺?している様子。

真治も謎の組織に追跡されて、鳴海と二人で逃げる。
真治は教会で神父から愛の概念を奪おうとするがうまくいかない。そんなもの誰にもイメージ出来ないのよと鳴海は言う。

真治は味覚も変わって、以前は食べられなかったご飯も美味いと言うように。そこに医者から「彼はウイルスに感染している」という電話がかかってくる。
(ウイルス感染を信じたとして、鳴海は彼を治療したいと思うのかなぁ。元のシンジに戻したいって思わないんじゃないかなぁ)

二人で病院に向かうと、そこには概念を奪われた人々がたくさんきていて阿鼻叫喚の図。

夫婦の元に桜井がやって来る。最初は宇宙人じゃないフリをしようとした真治、しかしガイドという言葉を聞いて態度が豹変!そこに立花と天野がやってくるー!
彼ら宇宙人の話し合いは一瞬で完了。しかし仲間と合流しても、真治は鳴海の夫でいることを選び、二人で逃げ出す。
立花は追いかける途中で車にひかれて死亡。
通信機を作る作業は桜井と天野の二人でする。桜井には別れた妻と息子がいるらしい。(ここで桜井は息子と天野を重ねたのかな?)
人類のサンプルとして選ばれた地球人は生き残れるという話を聞いて、それに志願しようかなと言う桜井。

すると厚生労働省を名乗った謎の組織の男たちがやってきてバトル!

戦いで倒れた天野の代わりに桜井が侵略開始の通信機をオンにする!笑顔を見せる桜井!
(地球の軍も桜井じゃなくて最初に無線機を破壊すればいいのに…)

桜井の働きにより、宇宙人の地球侵略が始まる。
全てが消えてなくなる前に真治の手で自分を消させようとする鳴海。自分の首を握らせて殺させようとする。しかし真治は殺せない。すると今度は愛の概念をイメージするから奪ってと鳴海は言う。
”愛”の概念を奪われた彼女は何も感じなくなってしまった。逆に真治は愛を知って感動している様子。

 

そして二か月後!侵略者は侵略をなぜか途中で終えたらしい。
鳴海には後遺症が残っている。(ここでまさかの小泉今日子がカメオ出演!)

廃人のようになってしまった鳴海に向かって真治は「ずっと一緒にいるよ、最後まで」と声をかける。

愛についてのお話

基本的には、夫婦という関係から愛について知る映画なのです。
宇宙人が、人類から愛を学ぶ。というお話。

夫婦とは何か?という問いについて、「夫婦」という肩書を大切にするのではなくその関係になってからも二人が「信頼できるパートナー」になるということに意味があるという事が言いたいのかもしれない。

子供たちに愛とは何か聞くところも面白いですよね!教会にいる神父が「愛はあなたの内側にあります」と説いていて、その神父からは”愛の概念”をうまく奪えなかったのも興味深い。鳴海の「そんなもの誰にもイメージできないのよ」っていう言葉も深い。これが真理だー!!となりますね(笑)

最終的に、鳴海からは愛を学ぶことができたわけだし、神父のおかげでそこの演出も引き立ちますね。

わりとツッコミどころも

多いんですよ。宇宙人の強さ設定もガバガバな感じがする(立花は車にひかれて死んだのに天野の方は銃に撃たれても平気そう(笑))し、謎の組織も宇宙人のこと知ってて戦いに来てるのに全然対策してない感じがしたり(概念奪われまくり)

天野が殺されても、仲間がたくさんいるって言ってたからあんまり意味はない気もしたり。。。

桜井も、二人の宇宙人と一緒に行動してて彼らに無理やりやらされているのか自分の仕事のために自分からついて行ってるのかわかりにくい!彼らを止めたいのか止めたくないのかどっち!?!?って感じがする。

最終的には天野に情が移る感じなんだと思うけど、そこに行くまでの描写がなさすぎてどうしたい人なのか分からない。自分の体に乗り移られるほどの気持ちの変化がどこで起きていたのかも分からないし。

(しかしこのラストには諸説あるようで、桜井は乗り移られていないのに自らの意志で通信機をオンにしたという説もあります。だとしても、どうしてそういう心境になったのかが謎なんだけどね)

最後の侵略のシーンも、ちょっと古臭い特撮感があったり(笑)音楽も(笑)
侵略行為って人間に対してのものだけだからもう少しスマートな方法なのかと思ったら普通に物理的に攻撃しててそこも笑ってしまった!!ほかの生物も死にそうじゃん!!

 

一番のメインである”概念を奪う”という部分に関しても、奪われた人間が廃人のようになるのがいまいち納得できず。学び直せばいいだけでは??赤ちゃんに戻ったようなもんなんだし。と思ってしまいますね、正直。

まとめ

けっこうツッコミどころ満載なんですけど、主演二人の演技は良いし、夫婦の関係が少しずつ変改していく過程も良かった。愛について学ぶというのも良かったですね。

ラスト付近で鳴海が真治に「愛を奪って」と言うシーンはなんとなく官能的に見えて、夫婦として二人が結ばれたようにも思えました。

 

ちなみに、トークショーで監督への質問に「刑事が自分は自分、と苦悩する場面があり、映画”CURE”の中で出てきた”自分は自分”という台詞の酷似しているがわざとでしょうか」というものがありましたが、監督が意図したわけではないようです。

そういう同じ監督の作品で繋がりが見えると、ついつい嬉しくなってしまうものだけど!!意外と製作側は何も考えてなかったりすることってわりとありますよねー・・・と思った瞬間でした。

 

トークイベントで観た方の予兆の感想も上げました!↓そちらもぜひご一緒に!

宇宙人から夫を守れ!映画『予兆 散歩する侵略者』ネタバレ&感想

ここまで読んで頂きありがとうございました!ちびぞうでした!!

 

 


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画像引用元:IMDB

平成VSシリーズ最後の一本!映画『ゴジラVSデストロイア』ネタバレ&感想

ゴジラ死す

平成ゴジラの感想第二弾!どうもちびぞうです!

あけましておめでとうございます!!!去年は当ブログが大変お世話になりました!
本年もどうぞ、毒にも薬にもならない映画感想などなど読んで頂けたら幸いです。

さて、ゴジラ。これもちびぞうが選んだわけではなく、地元のミニシアターでたまたま上映されていたものを観に行きました!実際観たのは何か月も前なんですけど・・・最近ブログのスピードが鑑賞速度に全く追いついていなくてまずいですね。

前回、ビオランテの記事を書いたときはちゃんと看板の写真を撮ってたんですけど、今回は忘れてしまった!!!!しまった!!!

バラの細胞と一体化!?平成ゴジラ一発目!映画『ゴジラVSビオランテ』ネタバレ&感想

パンフなどはありません。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】大河原孝夫
【特技監督】川北紘一
【脚本】大森一樹
【製作】田中友幸、富山省吾
【デザインワークス】吉田穣、小林晋一郎、西川伸司、岡本英郎、今井聡、岡秀樹、神菊薫
【撮影】関口芳則
【美術】鈴木儀雄
【編集】長田千鶴子
【照明】望月英樹
【衣装】斎藤育子
【音楽監督】伊福部昭
【出演([]内は役名)】

  • 辰巳琢郎[伊集院研作]
  • いしのようこ[山根ゆかり]
  • 林泰文[山根健吉]
  • 小高恵美[三枝未希]
  • 大沢さやか[小沢芽留]
  • 篠田三郎[国友満]
  • 河内桃子[山根恵美子]
  • 中尾彬[麻生司令官]
  • 高嶋政宏[黒木特佐]
  • 神山繁[後藤陸将]
  • 村田雄浩[速見惣一郎]
  • 斉藤暁[南条]
  • 平泉成[上田]
  • 藤巻潤[岡崎]
  • 小野武彦[村田]
  • 上田耕一[田山孝夫]
  • 二瓶鮫一[中村]
  • 荻原賢三[野村]
  • 菅原大吉[台場の海底トンネル現場主任]
  • 中沢青六[台場の海底トンネル班長]
  • 青島健介[スーパーXIIIパイロット]
  • 川崎博司[スーパーXIIIナビゲーター]
  • 鳥木元博[Gフォース司令室要員]
  • 桜井勝[伊集院研究室助手]
  • ロナルド・ヘアー[マービン教授]
  • 薩摩剣八郎[ゴジラ]
  • 破李拳竜[ゴジラジュニア]
  • 播谷亮[デストロイア(完全体)]
  • 柳田英一[デストロイア(集合体)]
  • ジョン・ギャロック[KA1079便操縦士]
  • 方洛奇[KA1079便副操縦士]
  • 張紹興啓徳[国際空港管制官]
  • 岡田和子[放射能科学者]
  • 小寺大介[国家公安委員]
  • 秋元榮治郎[科学技術庁原子力局長]
  • 坂井義雄[防衛局長]
  • 名倉得二[防衛庁警察官]
  • 笠原鉄郎[国土庁防災局長]
  • 井上千恵子[環境大気保全局長]
  • ヒサクニヒコ[地球環境学者]
  • 脇浜紀子[JBSテレビのAD]
  • 村上順子[伊集院研究室助手]
  • 結城豊弘[伊集院研究室助手]

【公開日(日本)】1995年12月9日
【上映時間】103分
【配給】東宝
【前作】ゴジラVSスペースゴジラ
【次作】ゴジラ2000 ミレニアム
【IMDB】6.9/10.0  (およそ4440人の評価)

【あらすじ】

香港に出現したゴジラは、体内で発生した核分裂により赤く発光していた。このまま核分裂が暴走し続けると、ゴジラ自身が熱融解し、チャイナシンドロームを引き起こすことが判明する。G対策センターは、ゴジラを冷却して活動を一時停止させ、中性子制御剤のカドミウム弾を打ち込む。それによって核分裂の暴走は収まったが、ゴジラの進撃は抑えられなかった。そのころ酸素の研究の果てにミクロオキシジェンを発見した伊集院健作は、さらにそれを発展させたオキシジェンデストロイヤーの研究に取りかかっていた。彼はかつてその最終兵器が発動された東京湾の海底から泥を採取、研究所に持ち帰ってオキシジェンデストロイヤーの痕跡を求める。だがその泥の中では、地球太古の異生物・デストロイアの幼生が永い眠りから覚めようとしていた……。【引用元:allcinema

【感想(ネタバレするよ!)】

☆2.8/5.0

前回観たビオランテの製作から10年ほど経っているので、映像面もだいぶ進化しているな!!という感じがしてかなり観やすかったです。特にゴジラの大きさの表現。海を歩くだけのゴジラではなく、ちゃんと街中を歩くシーンも十分にありました。

リトルというミニゴジラの存在も、物語を盛り上げていましたし、何よりちびぞうの知っている俳優さんがドッと増えてきたのでそういう面でも楽しみがありましたね。

特に高嶋政宏…あんなにカッコイイ特佐を演じていたのに…去年のガキ使ではパンイチでドMに扮していたもんな…この頃の彼は将来自分がバラエティでそんな体当たりをしているとは思いもしていなかったであろう…。

おおまかなストーリー

ゴジラが現れた!体内で核分裂が起こっていてこのままだとメルトダウンしてしまう!メルトダウンすると地球に大穴が開いてしまうという!それをなんとかするためには、芹沢博士の作ったオキシジェンデストロイヤーという兵器を再び使うしかない!

と思ったら過去に海の底に沈んだオキシジェンデストロイヤーが微生物に影響を与え、未知のモンスターへと進化してしまっており、オキシジェンデストロイヤーの回収と共にその微生物も地上に現れる&巨大に進化し始める!!

ゴジラの息子リトルも巣を求めて徘徊しているし、ゴジラはリトルの後を追うように歩いてその先にある町を破壊している。

ゴジラとデストロイア―を戦わせるため、彼らと交信の出来る女性が二人、リトルに念を送りデストロイア―に向かわせる。

デストロイア―との戦いでリトルは倒れてしまう。そこに何か熱源のようなものを口から送り込むゴジラ。息子を失って怒ったゴジラはデストロイア―を見事に倒す。しかし最期にはメルトダウンを始めてしまう。

ラストシーンは、霧の中で復活するリトルの神々しい姿が映って終わり。

登場怪獣紹介

  • ゴジラ
    体内炉心の核エネルギーが暴走し、核爆発/核融解(メルトダウン)寸前の状態となっているゴジラ。赤く光っている。

  • リトルゴジラゴジラジュニア
    身長:40メートル
    体重:15,000トン
  • デストロイア
    特徴としては、増殖と合体を繰り返す。微小体(クロール体)、幼体、集合体、飛行体、完全体があり自在に変化する。
    微小体の身長:3ミリメートル – 5ミリメートル
    体重:0.5グラム
    クロール体の身長:2ミリメートル – 30センチメートル
    体重:2グラム – 1.5キログラム
    幼体の身長:2メートル – 18メートル
    体重:350キログラム – 260トン
    飛行体の身長:65メートル
    体重:1万5千トン
    完全体の身長:230メートル
    体重:8万トン

ちびぞう的にはこの「デストロイア」というモンスターは強すぎないか?と思っているフシがあります。核爆発起こしそうなゴジラが本調子でないのは分かるんですけど、もし本調子だったとしてもデストロイアは倒せないような気がして…まぁ最後はリトルを殺されたという怒りでスペシャルな力を発揮したんでしょうけどね!!

それくらい、分裂はするは合体はするは空も飛ぶし、チート級の強さだと思いますよデストロイアは。

まとめ

音楽も映像も新しくなって、だいぶ見やすかったです。

勿論、古い映画は技術力に問題があるからつまらない・・・という考え方ではないですよ。
古い映画でも素晴らしい作品は沢山ありますし。

おそらくビオランテが個人的にあんまり響かなかったというのもあって、今作が余計に良く見えたのかな。

Xフォースの兵器が登場するのもシリーズで言えばビオランテから6年ぶりという事らしいですけどもたまたま連続して観れたのも嬉しかったですね。

今作は平成ゴジラVSシリーズのラスト!という事で、ゴジラが死ぬ描写がちゃんとあるのは今作だけ・・・という事らしいです。ちなみに1954年の『ゴジラ』へのオマージュも沢山散りばめているのだそうな。

次は出来たらその『ゴジラ』を観たいかな。せっかくオマージュされているというのもあるし、やっぱり原点から順番に追っていきたいですよね!
ただもう、観なきゃいけない映画が山積みでまったく追いつかないんですけどね!!!!!(感想もね!!!)

 

 


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画像引用元:IMDB