タグ: ヒューマンドラマ

目覚めたらひとりぼっち!映画『パッセンジャー』ネタバレ&感想

私はこの船で暮らし―――
永遠に旅をする 辿り着けない旅を・・・見知らぬ男とともに

劇場で予告編を観たときに気になってはいたものの、結局何気なくスルーしてしまっていた今作。家族の勧めもあってようやく、今回自宅で鑑賞しました。

主演俳優には、ヒロイン役にジェニファー・ローレンス!大好きな女優さんです(『ハンガー・ゲーム』や『世界に一つだけのプレイブック』で有名ですが、個人的には『X-MEN』シリーズのレイヴン(ミスティーク)が印象的)。そして主人公にはクリス・プラット、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のスターロード役が記憶に新しいですね-!彼は宇宙に縁があるのかな(笑)

【映画情報】

【原題】Passengers
【制作国】アメリカ
【監督】モルテン・ティルドゥム
【脚本】ジョン・スパイツ
【製作】ニール・H・モリッツ、スティーブン・ハーメル、マイケル・マー、オリ・マーマー
【製作総指揮】デビッド・ハウスホルター、ベン・ブラウニング、ジョン・スパイツ、ブルース・バーマン、グレッグ・バッサー、ベン・ワイスブレン、リンウッド・スピンクス
【撮影】ロドリゴ・プリエト
【編集】メリアン・ブランドン
【音楽】トーマス・ニューマン
【声の出演([]内は役名)】

  • クリス・プラット[ジム・プレストン]
  • ジェニファー・ローレンス[オーロラ・レーン]
  • マイケル・シーン[アーサー]
  • ローレンス・フィッシュバーン[ガス・マンキューゾ]
  • アンディ・ガルシア[ノリス船長]

【公開日(日本)】2017年3月14日
【上映時間】112分
【配給】ソニーピクチャーズ・エンターテイメント
【IMDB】7.0/10.0  (およそ230,000人の評価)

【あらすじ】

20XX年、乗客5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、新たなる居住地を目指して地球を旅立ち、目的地の惑星に到着するまでの120年の間、乗客たちは冬眠装置で眠り続けていた。しかし、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが予定よりも90年近く早く目覚めてしまう。絶望的で孤独な状況下で生き残る方法を模索するうちに、2人は惹かれ合っていくのだが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.5/5.0

壮大で美しい宇宙と船内の映像

まず賞賛したいのはこれ!!

宇宙の映像の美しさ、無機質で洗練された宇宙船内外のデザイン!それ以外にも、無重力で浮いてしまうプールの水の表現や、隕石の激突によって起きた異常によって熱暴走する船室、そしてラストの”楽園”のシーンまで、どれも非常に美しく、それだけでも観る価値はあるかな、と思えます!

実力派俳優たちの共演

ジェニファー・ローレンスの美しさ!首元のホクロがすごく色っぽくてきれいです!そして彼女の、恋する女の目から憎しみに満ちた目に変わっていく演技!自分を起こしたのがジムだと知った後の、殴るわ蹴るわの暴行シーンが何気に鬼気迫っててゾッとしましたね。彼のした事の重さを再確認させられるというか。

対するクリス・プラットも、影のあるイケメンを演じていましたね・・・。目覚めてから、ジャケットの着方を鏡で確認して、これから始まるであろう新たな人生にウキウキする様子、そこから自分が一人だと知って絶望していく様子・・・。オーロラに対して、恋人をしながらも時々見せる罪悪感の滲んだ表情・・・。どれもすごく上手でしたね。

そして!!忘れてはいけない、アンドロイドのアーサーを演じたマイケル・シーン!凄いです、もう見た目は人間にしか見えないのに、ちゃんとアンドロイドしている。絶妙に噛み合っているようで噛み合っていない台詞回しとか、些細な表情筋の使い方とか「あ、本当の意味では理解されていない」というゾッとする感じが上手かったです。だからと言って完璧にロボット・・・とも少し違う、絶妙に愛着の持てる感じが凄く良かったんですよね。

この三人だけでほとんどの場面を回していくのに、後半の船長が目覚めるまで退屈しないのが本当にすごい。映像と、脚本と、演技者の力の賜物だと思います。

あと一番最後に出て来るノリス船長?という名前の人らしいですが、アンディ・ガルシアでビックリ(笑)もはやカメオ出演ですよね(笑)アンディ・ガルシアも大好きな俳優さんなので、ラスト「あっ!!!」とテンション上がってしまいました(笑)

泣けるけどご都合主義

残念な点になってしまうのかなぁ。切なくて、泣けるシーンも終盤あるんですが、途中まではわりとツッコミどころ満載で観てしまっていました。

ジムの孤独にもっと共感させてほしかった

彼がひとりで過ごした一年と三週間という時間をもう少し詳細に観たかったですね。全裸で徘徊したって誰も気にも留めない・・・というところとか切なくて良かったんですが。

ちょっと尺というか、表現不足だったかな。引用させてもらったあらすじも、予告編もそうだったんですけどまるで「偶然二人で目覚めた」というアオリなわけです。でも実際は全然違う!!

実際は、ひとりで目覚めたジムが残り90年の人生を孤独に過ごすのに耐え切れず、一目惚れした美女を自分の都合で起こしてしまう・・・。それは、殺人にも等しい、人の人生をまるごと奪うような行為なわけで。この情報を知らずに観た人は、きっとジムの行動には共感出来ないどころか嫌悪感さえ持ってしまうかも。

だからこそ、ジムの孤独にあともう少しでも共感を呼ぶ表現が必要だったかな、と。じゃないと物語への没入感が薄れてしまうから。「絶対に共感しない、自分ならそんなことはしない」と言い切れる人もいるかもしれないですが、本当にそうなのかな、と思います。あの状況になってみないとまずジムの気持ちは分からないし、人間は弱いから。極限状態であればまともな判断が下せず”人生を百万倍良くする方法”に縋ってしまうかもしれないですよね。

船長の台詞に「溺れる者は誰かに縋るものだ、でないと死んでしまう」という台詞がありましたが。この部分について、「ああ、この状況では仕方ないのかもしれない・・・」と思わせる表現が、もう少し欲しかった、という事ですね。

イケメンじゃなかったらどうするんだ問題

ジムがものすごいブサメンだったり、技術者ではなかったり、ものすごい幼かったり、逆に老人だったりしたら・・・というツッコミですね(笑)相手がいくら美女でも、彼女にも選択する権利があるわけで。そもそも技術者でなかったら、誰かを起こすことも出来なかったんですよねー。全体的に、予定調和な脚本であることは、間違いないです。

もし、ジムがサイコキラーだったらホラーな展開になるかも!とも思います。それはそれで観てみたい(笑)

 

船長の存在も都合がいい

後半になって起きて来る船長ですが、5000人以上もいる中で彼が目覚めたという偶然もものすごい。そしてすぐに死んでいなくなってしまうのも、都合が良い。最後に扉を開けに行く役をジムにさせるには、再度二人っきりにする必要がありますもんね。しかし最初から最後まで二人では船のシステムの深い部分まで入り込めない+医療機器の限界突破をさせることが出来ないわけで。監督の意図に沿って登場したキャラだなぁ、と冷静に思えてしまうところが残念でした。

ジムの罪は最初から許されるべくして犯された

最後の方で「沈みゆく船」だったんだ、とオーロラも観客も気付きます。つまり、ジムが彼女を起こそうが起こさないままだろうが、全員死にゆく運命だったんですよね。

この作品の最大のテーマは「人命の価値」で、武田泰淳の短編小説『ひかりごけ』のように、極限状態に置かれた人間が犯すタブーについてどう考えるか、という部分がキモだと思うんです。許されない罪に対してジムとオーロラがどうしていくのか、そこが観たいんですよね。

でも、物語は「最初からジムが許される」ように作られているわけで。

まぁラブロマンスをメインにしてしまうとそうなるのかもしれませんが・・・。原作でのラストは映画版とは違い、もう少し暗澹としたものだったようなので、そっちの方も観てみたかったなーと思いました。

まとめ

散々色々言いましたが(笑)

あまり深いことを考えずにラブロマンスとして観れば、ロマンチックなシーンも沢山ありますし、何より映像が美しい。

それから主演陣のキャラクターも魅力的で惹き込まれます。もっと素直に観れば、オーロラが「偉業を達成する人生」よりも大切な物を見つける物語なわけで。ヒューマンドラマなのか、ラブストーリーなのか、どちらに重点を置くかで見方もまた変わってくるのかなー、と。

これだけ色々とツッコんでおきながら最後の方は泣いてしまったちびぞうなので、決して失敗はしない良作だと思います(笑)

 

 

 


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スパイディの成り立ちが分かる!映画『スパイダーマン』ネタバレ&感想

大いなる力には、大いなる責任が伴う

今年、『スパイダーマン / ホームカミング』を観まして、過去のスパイダーマンも見返したい!と思ったので復習がてらDVDにて再鑑賞しました!

ちなみに新スパの方も記事を上げていますので良ければどうぞ!→三度目の映画化!『スパイダーマン : ホームカミング』感想

トビー・マグワイヤのスパイダーマン・・・少し陰鬱すぎて苦手だったんですよね。今はどう感想が変わるでしょうか・・・

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故郷を離れた大人たちへ。映画『ニュー・シネマ・パラダイス』感想

”郷愁に惑わされるな、私たちの事は忘れろ
自分のすることを愛せ
子どもの時、映写室を愛したように”

世代によっても変わってくるとは思いますが、きっと映画が好きな人でこのタイトルを知らないという方はほとんどいないのではないでしょうか。

私も、誰から聞いたかは覚えていないのに、なぜか「名作だ」という事は知っていて、ずっと観ずに放っておいてしまったのがこの作品です。どうも昔から、名作だと勧められていた作品に限って長いこと観ないで置いてしまうんですよね。(特に家にDVDがあっていつでも観れるとなるとなおさら)

今回、やっと重い腰が上がり、DVDで観る事が出来ました。おそらく重要になってくるであろう事を先に書いておくと、ディレクターズカットや完全版ではなく、劇場公開版を観ました。

まずはいつもの映画情報から!

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倫理観が崩壊する不条理スリラー。映画『エル ELLE』感想

犯人よりも危険なのは”彼女”だった―――。

時々、映画好きの母親に連れられて前知識がゼロのまま映画を観に行く事があります。ある程度母親の勘を信頼しているのもあるし、「何も知らずに」観に行くワクワク感が楽しかったりするからです。

実際、以前観に行った『トランボ』なんかはもの凄く面白かった。

今回も若干の期待をしつつ、タイトルから勝手に「ブランドに関わる女性の物語だろうか」と想像しながら行ったのです。

全く違ったけどね!

パンフはこんな感じ。

やっぱりミニシアター系の映画のパンフはシンプルオシャレで好きです!右開きの真っ赤なデザイン、文字も白と黒のみでハイセンス。

価格は26Pで税抜き667円。まぁ普通ですね。

個人的に小説家の真梨幸子さんのコラムが載っていたのが嬉しかったです!

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藤原竜也×有村架純『僕だけがいない街』ネタバレ&感想

だから戦う

前に進むため 生きるために

名作コミック、「僕だけがいない街」の実写映画化ですねー。もう最近、映画『22年目の告白』やドラマ『リバース』なんかでも見ていたもので、藤原竜也は本当にお腹いっぱいで・・・。

この作品は公開当時まだ原作の方が完結しておらず、更に原作が好きだったので実写化に不安がありました。なので劇場では観に行かず、この間テレビでやっていたものを録画、鑑賞しました。

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岐路に立つ!CGアニメ映画『カーズ/クロスロード』感想&ネタバレ

この挫折は終わりか、始まりか?

「もし勝てたら、いつ引退するかは自分が決める」

やっと劇場で観ることができました!一作目は自己改革、二作目は友情を更に深堀り、今回は邦題が”クロスロード”となっており『岐路』つまり人生(車生?)の分かれ道を意味しているようです。

果たしてマックィーンはどんな分かれ道に立たされてしまうのか!?

パンフレットはこんな感じ。

道を辿った先の道が二股になっているところがまた憎い。この先の人生をマックィーンが見据え、どう選択するのか?ということを暗示しているようですね!

ちなみに形はディズニー・ピクサーのCGアニメのパンフおなじみの真四角に近い形です。46Pで税抜き667円。うーんやっぱり豪華。

黄色の車体が一体誰なのか、気になるところですね!

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芸術家が見ている世界。映画『エゴン・シ―レ 死と乙女』感想&ネタバレ

愛の不毛の中で、誰ひとり幸せにはならなかった。

ただ数々の傑作だけが残った。

エゴン・シーレという画家については私は全く何も知らなかったんですが、とにかく『画家の伝記映画が好き』という理由だけで劇場へ足を運びました。

どうやらクリムトと交流があったり、ヒトラーさんが落ちた美術学校に受かったりしていた人らしいですね。

パンフはなんと売り切れ状態。仕方がないので都心に住む映画仲間に代わりに買ってきてもらいました(笑)

パンフはこんな感じ。18Pしかないのに税込み720円は少し高いですな!!それに、個人的にはチラシのこのデザイン(自室の壁に貼ってる)の方がオシャレで気に入ってるので、なぜこれをパンフの拍子にしなかったんだぁああああ・・・という若干の悲しみはあります(笑)

パンフの中身はエゴン・シーレの人生の年表や、発表した作品の数々等も載っていて非常に興味深かったです( ´ސު`)

【映画情報】

【原題】EGON SCHIELE – TOD UND MADCHEN / 英題:EGON – DEATH AND THE MAIDEN
【制作国】オーストラリア・ルクセンブルク
【監督】ディーター・ベルナ―
【脚本】ヒルデ・ベルガー、ディーター・ベルガー
【原作】ヒルデ・ベルガ―
【製作】フランツ・ノヴォトニー、アレクサンダー・グレール、バディ・ミンク、アレクサンダー・ドゥムライヒャー・イヴァンチャヌ
【音楽】アンドレ・ジェジュク
【撮影】カーステン・ヒーレ
【出演([]内は役名)】

  • ノア・サーベトラ[エゴン・シーレ]
  • マレシ・リーグナー[ゲルティ・シーレ]
  • ヴァレリー・パハナー[バリ・ノイツィル]
  • ラリサ・エメ・ブライトバッハ[モア・マンドゥ]
  • マリー・ユンク[エディット・ハルムス]
  • エリーザベト・ウムラウフト[アデーレ・ハルムス]
  • トーマス・シューベルト[アントン・ベシュカ]
  • ダニエル・シュトレーサー[ドム・オーゼン]
  • コーネリウス・オボンヤ[グスタフ・クリムト]

【公開日(日本)】2017年1月28日
【上映時間】109分
【配給】アルバトロス・フィルム
【映倫区分】R15+

【IMDB】6.6/10.0  (およそ300人の評価)

【あらすじ&解説】

20世紀初頭に活躍し、28歳の若さで早逝した異端の天才画家エゴン・シーレの半生を描いた伝記ドラマ。数多くのモデルと浮名を流すなど、スキャンダラスな逸話も多いシーレにとって、特に大きな存在となった2人の女性との濃密な日々が描かれる。1910年、美術アカデミーを退学したシーレは画家仲間と「新芸術集団」を結成し、妹ゲルティの裸体画で頭角を現す。ゲルティも16歳でヌードモデルを務め、敬愛する兄を献身的に支え続けた。グスタフ・クリムトから17歳のモデル、ヴァリを紹介されたシーレは、彼女と同棲を開始。幼児性愛者などと世間から誹謗中傷を浴びながらも、シーレはヴァリをモデルに数々の作品を発表。シーレが時代の寵児ともてはやされる中、第1次世界大戦が勃発。シーレとヴァリは時代の波に翻弄されることとなる。【引用元:映画.com】

【感想&ネタバレ】

☆3.8/5.0

アルバトロス・フィルムだったんだ!!(笑)

アルバトロスといえば知る人ぞ知るB級映画ばかりを輩出している配給会社でありまして・・・おもにB級ホラーとかが多いんですよね。たまにまともな作品もあったり、名作もあったりします『アメリ』とか!!

でもほとんどの作品が駄作だったりするので驚きです。けっこう面白いなと感じたので(笑)

画家の映画に弱い

主にモディリアーニの作品ばかりなんですが、結構観ています。やっぱり天才というか・・・才能のある芸術家という方々は、凡人にはない変わった感性があったりするので、だからこそ人生が波乱万丈になったりするんですよね。その波乱万丈な人生や独特の感性が創り出す作品を覗き見れる感じが、画家の伝記映画の面白さですね。

何が起きてこの作品が生まれたんだ、ということが分かると、絵画に対する見方も変わってきたりします。

エゴン・シーレという画家

エゴン・シーレという画家は、昔から幼い妹の裸を描くことにこだわったりしていたせいで幼児性愛者と疑われ裁判にかけられたり、その都度ミューズ(女神という意味合いですが、つまりは「彼女を描きたい!」とハマったりする相手(女性)ってことですね)と浮名を流したりと・・・あまり女性から見ていてよろしくない人生(笑)を送っていた画家さんだったかもしれませんね。彼の場合はその女性を愛していたというよりは、”女体を描くこと”に憑りつかれていた感じだったと思うので・・・。ミューズとして選ばれた女性は次々捨てられて行ってしまう形になってしまうのがなんとも言い難い・・・。私は別にその絵に対する情熱や姿勢に嫌悪感は感じないですが、許せない!と感じる女性陣は多いかもしれませんね。

生涯で一番惚れ込んだミューズ

恋人であり、人生で一番のミューズであるヴァレリーと出会うも、兵役をきっかけに離れ離れになってしまう。愛し合っていたはずなのに、戦地に連れて行く女性が必要(絵のモデルにする為に)だという理由だけでエゴンは別の愛してもいない女性と結婚してしまうんです。これにはヴァレリーも激怒。(それは怒るよねと私も思いますよさすがに)

ここが二人の分かれ道になってしまった・・・。それでも、エゴンの中での最高のミューズは彼女だけだったと、描かれた”死と乙女”というタイトルの絵画を観ると分かります。異常に切ないです。

何かにとりつかれた様に創作にいそしんでしまう人というのは、時として相手の人間を人間扱い出来ない事が多々ありますね・・・。だからこそ、人々に評価される作品が描けるのかもしれませんが。なんだか、悪魔と契約して特殊な才能を授かったようにも思えます。

まとめ

正直、誰一人幸せにはなりません。エゴン・シーレという画家が成功を掴んだ裏側にいた沢山のミューズ達の苦しみがあった事が分かるだけです。

それから、死と乙女というタイトルに込められた意味を最後に知ると、切なくて涙が止まらなくなるでしょう。

芸術家の人生は本当に、事実は小説より奇なりといいますか・・・面白いです。

クリムトという有名な画家もチラッとゲスト出演レベルで出て来るので、絵画などに興味がある方にはオススメですね!!

 

 


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正統派SFアクション!映画『マイノリティ・リポート』感想&ネタバレ

人は信じるものを自ら選ぶのではなく、選ばれるのだ。

かーなり昔に観た記憶はあるんですが、全く覚えていなかったのでテレビで再放送していたのを家族と鑑賞、テレビ版は30分ほどカットされているようだったので改めてDVDで見直してみました~。

特別編はなんとディスクが2枚!!!(笑)2枚目は特典映像らしいですねー。豪華です。

SF映画もアクションもついでにトム・クルーズの映画もあまり好きなものが多くない私なので、年月が経ってから見直すと果たしてどういう感想になるのか。

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映画『ヒメアノ~ル』これぞ”ジャンルスイッチムービー!”ネタバレ&感想

「不満や不安がないと、生きていられないと思うよ。それをなくすことが原動力になって、毎日を頑張っているんじゃない?完璧に満足している奴なんて、いないと思う」

うーん濱田岳主演のラブコメかぁ・・・程度にしか予告では感じていなかったんですが、どうも、後半雰囲気がガラりと変わるらしい・・・?

原作は未読。今後も読む予定はありません!(理由はのちほど!)

結局劇場では観れず、レンタル一週間になっているのを発見したので借りて来ました。

地味に森田剛が楽しみでした。

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記憶を失くすのは恐ろしい。映画『手紙は憶えている』ネタバレ&感想

親父の友達なんだろう?歓迎させてくれ!

こちらも近所のミニシアターに遅れてやって来て、観るつもりだったのに逃してしまったやつですねー・・・。

どうしてナチス関連の映画ってこんなに惹かれてしまうんでしょうね~・・・。私はあんまり歴史とか詳しくないですが、何故か観たくなってしまうジャンルです。

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この映画の『メッセージ』をどう受け止めますか?感想&ネタバレ

あなたの物語のはじまりは、この日だった――

『プリズナーズ』『複製された男』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新作(2017年現在)です!

『プリズナーズ』は結構好きな作品ですし、『複製された男』も嫌いではないのでひそかに気になっていました!しかも松竹に努める映画仲間から「オススメだよ」と言われていたので期待値も高めでした。

原作は短編集のうちの一編だそうですね。未読です。

先が読めない!異色のサスペンス映画『プリズナーズ』ネタバレ&感想【前編】

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インド映画好きならチェックしよう『ピザ! -PIZZA-』ネタバレ&感想

「これ・・・あんまり美味しくないね」

【画像引用元:TSUTAYA】

インド映画好きとしては、レンタル店でインド映画を見つけるとついつい借りてしまう・・・なんてこと、ありますよね?( ´ސު`)

まさに私がそうです!ちびぞうです!

おそらく劇場公開されていないですし、いつもお世話になっている映画.comさんやYahoo!映画さん、さらにはwikiにも載っていない映画だったので情報収集に苦労しました・・・(感想を載せて下さっている他ブログさんに感謝)


【映画情報】

【原題】Kaakkaa Muttai(英題:Crow’s Egg)
【制作国】インド(タミル語)
【監督/脚本】M・マニカンダン
【プロデューサー】ヴェトリマーラン、ダヌシュ

【音楽】G. V. Prakash Kumar

【出演([]内は役名)】

  • J Vignesh[カラスの卵(兄)]
  • V Ramesh[カラスの卵(弟)]
  • Iyshwarya Rajesh アイシュワリヤー・ラージェーシュ[母親]
  • Ramesh Thilak[祖母]
  • Nivas Adithan[父]
  • Silambarasan[シンブ(本人役)]

【レンタル開始日(日本)】2017年4月4日
【上映時間】91分
【配給】カルチュア・パブリッシャーズ
【映倫区分】U

【IMDB】8.5/10.0  (およそ3,000人の評価)

【あらすじ】

舞台は貧富の差の激しいインドのタミル地方。父親は刑務所におり、母と祖母と捨て犬と(四人と一匹)でスラム街に住む兄弟は、石炭を拾っては売る仕事をしながら時々空き地の木からカラスの卵を取っては食べている。その空き地が都市開発?で売られ新しくピザ店(ピザ・スポッット)が建設された。有名俳優がテープカットをする中で観衆に拍手で迎えられたオープニングセレモニーを金網越しに見ていた主人公兄弟二人が、「ピザという物をただただ食べてみたい」がために、お金を稼ごうと奮闘するお話。

予告編を貼っておきます。

【感想】

☆2.8/5.0

『きっとうまくいく』みたいな感じを期待すると拍子抜けしてしまう地味さがあるかもしれませんが、こちらの映画、普通に楽しいです!原題がカラスの卵、というのも面白い。

兄弟が微笑ましい!

生まれてから一度も食べた事のないピザを一度で良いから食べてみたくて、ピザ1枚分のお金300ルピー(いつも仕事で拾っている石炭は1キロで3ルピーで売れる)をなんとか稼ごうとする。実はこの兄弟には富裕層に友達(ロケッシュ)がいて、いつも金網越しにおしゃべりしている。その友達は25,000ルピーもする犬や、都会にあるショッピングモールで新しい服を買ったと自慢してきたりする。兄弟はいつもロケッシュと話していて、ぶっちゃけ彼に頼めばピザをタダでもらえそうだった(実際に”残りをあげるよ”と差し出されるシーンもある)。だけど、兄はそれを突っぱねて「もらえば良かったのに」と言う弟に「あんな残り物がいいのか?」と言う。この、あくまでも”自分たちで稼いだ”お金で買う、という事にこだわる兄が微笑ましく、欲しい物を他人からもらったのでは意味がないということが伝わってくるシーン、好きです。

彼らは、石炭が置かれている場所にこっそり侵入して盗んでは売るなどアウトなこともしますが、”旦那が帰ってこないのよ”と困っている女主人(いつも石炭を買ってくれる)の元へたまたま街で見つけた旦那さんを連れ帰らせお礼にお金をもらったところからヒントを得て

「家に帰れなくなっている酔っ払いに声をかけ、家に連れて行く代わりにお金をもらう」

という商売を始めたりします!おそらくまだ中学にも上がっていないであろうほどの彼らの頭の良さにも関心しますし、「ピザを食べたい」という欲求がもたらすパワーはものすごいなと。

人間、目的があるだけでたとえ貧しくても人生が輝きだしたりするんですよね。一生懸命な兄弟にほんとに癒されます。

【↑と以下の画像の引用元:IMDB】

おばあちゃんが素敵!

ピザが食べたいという孫たちのために、ピザ店のちらしを見ながら見よう見まねでピザを焼こうとしてくれる姿にほっこり。だけど、こんなのピザじゃないと突っぱねられたりして少し寂しい。

しかも、もう働くことのできないおばあちゃんが幼い兄弟に責められ

「役立たずでごめん。食べて寝るしかできない」

と涙するシーンなんかは本当に切なくて切なくて・・・ダメです、ご老人を悲しませるような事を言っては!!!

社会派ドラマでもある

全体的にコメディタッチですし、ヒューマンドラマでもあるのですが、インド映画らしく貧富の差や、幼児虐待、労働問題などの社会問題もしっかりと、そしてさりげなく描かれています。いや、貧困問題については全然さりげなくとかではなかったですね。中学生以下の子どもたちが裸足で石炭拾いをしてお金を稼ぐなんて、日本では考えられませんもんね。(最近感想を書いた『ライオン 25年目のただいま』でもその描写がありました)

インド映画って本当に、前置きなく大切な人が亡くなったりとショッキングな出来事が急に起こったりしますよね。それまでの流れがコメディだとか関係なく。しかしその感じはよくある観客受けを狙った”お涙ちょうだい”な演出ではなく、観終わった後に心に引っかかり、その問題について真剣に考えてみる・・・なんてことが出来る演出で、私はそこも気に入っています。

まとめ

これタミル語圏の映画だという事に今、気付いて衝撃を受けました・・・。『ムトゥ 踊るマハラジャ』に代表されるように、インド映画の中でもタミル映画は派手な踊りと歌が多く、こういった作風の映画はヒンディー映画の特徴だと思っていたからです・・・。うーん、ものすごくヒンディー映画っぽい。

ヒンディー映画というのは、心温まるストーリーやクスッと出来るコメディの顔をして実は”けっこうな重いテーマ”を唐突にぶっこんできたりするので、注意が必要だったりします。最後のオチも社会風刺が効いていて少々ブラックコメディ寄りでもあるのかな。そういう所もヒンディーっぽい。(『きっと、うまくいく』もヒンディー映画です!)

タミル映画ではありますが、派手に歌ったり踊るシーンはありません。家族愛や、「いつ何時大切な人を失うかもわからない」という事を考え、そういう相手に伝える言葉にも気遣いを持ちたいと思えるような優しいテーマも入っています。(段々タミルとヒンディーも境目がなくなっていきそう)

インド映画としては入りやすい作品ですので、ぜひ、レンタルショップへ。

兄弟のピザへの欲求がどのような形に収まるのか、見守って欲しいです。

(もっとインド映画が日本で流行って欲しい!!!!)

 

美味しいピザが食べたくなった人のためにピザ置いときますね。

 


今回、この記事を書くにあたって(主に【映画情報】の部分)参考にさせて頂きましたブログがありますので、リンクを貼っておきたいと思います。

(ありがとうございました。不都合ありましたら削除しますのでお気軽に申し付け下さい!)

 

 

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