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韓国の名作ゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』ネタバレ&感想

生か死か――時速300km超のノンストップ・サバイバル!

たまらんですよこの邦題のセンス(笑)周囲の映画館でやっているところがあまりないのでDVDで良いかなと思いきや、周りがけっこう褒めるもんですからね、これは観ておかねば!?という空気を感じ取りました。

韓国もののゾンビ映画ですよ!?韓国の映画は5本の指で数えられる程度にしか観ていないので、全くの未知の世界でした(笑)

パンフはこんな感じ。

うーんなんとも言えない普通なデザイン。特筆することのない縦長A4サイズでツルツルの表紙、18P税込み700円は少な目。しかし新幹線のイラストと共に、登場人物がどこにいたのかなど図で表されていてわかりやすい!

【映画情報】

【原題】부산행 (英題:Train to Busan)
【制作国】韓国
【監督】ヨン・サンホ
【脚本】パク・ジュソク
【エグゼクティブプロデューサー】キム・ウテク
【プロデューサー】イ・ドンハ
【共同プロデューサー】キム・ヨノ
【撮影】イ・ヒョンドク
【照明】パク・ジョンウ
【美術】イ・モグォン
【衣装】クォン・ユジン、イム・スンヒ
【編集】ヤン・ジンモ
【音楽】チャン・ヨンギュ
【出演([]内は役名)】

  • コン・ユ[ソグ]
  • キム・スアン[スアン]
  • チョン・ユミ[ソンギョン]
  • マ・ドンソク[サンファ]
  • チェ・ウシク[ヨングク]
  • アン・ソヒ[ジニ]
  • キム・ウィソン[ヨンソク]

【公開日(日本)】2017年9月1日
【上映時間】118分
【配給】ツイン
【IMDB】7.5/10.0  (およそ73,000人の評価)

【あらすじ】

ソウルでファンドマネージャーとして働くソグは妻と別居中で、まだ幼いひとり娘のスアンと暮らしている。スアンは誕生日にプサンにいる母親にひとりで会いにいくと言い出し、ソグは仕方なく娘をプサンまで送り届けることに。ソウルを出発してプサンに向かう高速鉄道KTXに乗車したソグとスアンだったが、直前にソウル駅周辺で不審な騒ぎが起こっていた。そして2人の乗ったKTX101号にも、謎のウィルスに感染したひとりの女が転がり込んでいた。主人公のソグ親子のほか、妊婦と夫、野球部の高校生たち、身勝手な中年サラリーマンなど、さまざまな乗客たちが、感染者に捕らわれれば死が待ち受けるという極限状態の中で、生き残りをかけて決死の戦いに挑み、それぞれの人間ドラマが描かれる。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレ盛りだくさん)】

☆3.9/5.0

ダサい邦題に釣られB級ホラー映画ファンが押し寄せて「何だこれは名作じゃないか!」って鼻水垂らす系のやつです(笑)

全体的にセンスが良い

この監督はアニメ畑出身のようですが、映像が結構斬新というか、間違いなく今まで観てきたゾンビ映画にはない緊迫感、スリルが味わえる構造、色味があってどれもセンスが良いです!

例えば

  • 何かが漏れたということで区画閉鎖している道を通ろうとするトラックが、鹿をひき殺す。すると、トラックが走り去った後、その死んだはずの鹿がムクムクバキバキ起き上がる。ゆっくり鹿をクローズアップすると、その瞳は薄白く濁っていた・・・というオープニングシーンからもう素敵。目を惹かれます!
  • 横倒れになりかけた新幹線に押しつぶされそうになるシーン。逃げ場はなく、迫ってくる新幹線の窓に大量のゾンビが張り付いてガラスをばんばん叩いている!!潰されるかもという恐怖と、ゾンビがガラスを割って落ちてくるかもという二重の恐怖。楽しいなぁ。
  • 列車の後ろにゾンビが一匹(一人?)ぶら下がって引きずられ、そいつにまた別のゾンビが飛びついて引きずられ、更にまた別のゾンビが・・・と大量のゾンビが列車にミノムシのミノのようにくっ付いていく・・・というシーン!重さと摩擦で止まりそうになる列車!必死にぶら下がるゾンビの足を蹴る主人公!いやぁこのシーンは圧巻でしたね。

どのシーンも大体ハラハラしたし、新しかった。

今作のゾンビ

  • 走るゾンビである(非常に足が速くてそこそこ力も強くて元気)
  • 夜目がきかない(暗闇では音に反応する)
  • 齧ってから即ゾンビ化するものもいれば、意外に時間がかかるものもいる
  • 血は赤い派
  • 原因はバイオ系の会社からのウイルス流出・・・?

走るゾンビに抵抗がある私ですが、シチュエーションや脚本も含め撮り方が面白いせいか普通に楽しめました。

新幹線という媒体

ゾンビものが流行る時、「どこでゾンビから逃げ回るか」という部分は非常に大事。

特に、異国の映画でありながらショッピングモールのような”身近で分かりやすい場所”というのは、状況を想像するのに容易で、世界観に入り込みやすくなると思うのです。

今回の新幹線という場所は、きっと誰しも(乗ったことがない場合でも)一度は目にしているもの。作りも日本の物と似ていて、客席のある部分、連結の部分、連結部分に存在するトイレなどなど。とても親しみがあります。

そこでゾンビが入り込んで来たらどうなってしまうのか?無理のない展開で、ものすごいスリルがありました。本当にこうなりそう!

ヘッドショットしないよ!

韓国が銃社会なのかどうか私には分かりませんが、今作では銃を用いてゾンビを倒すシーンが一つもありません。

あるのは猛ダッシュで逃げるシーン、そして体と体のぶつかり合い!

成金親父のような図体をしていたおっさん(妊婦の夫)が文字通り人肌脱ぐと、熱いマッスルマンに早変わり!椅子の背に両手をついてドロップキック!からの首折りやら肘鉄やら・・・強い。頼もしい!漢(おとこ)!

主人公も警官隊の盾を使ってフォロー!野球少年もバットを振り回す!かと思えば、トンネルの暗闇でこそこそする(笑)

楽しいですねー。今作のゾンビの設定と、「新幹線」という逃げ場のない密室を最大限生かした映画でした。

泣かせるシーン盛りだくさん

実はすごく泣けるのです。

野球部員の中で自分だけ助かってしまったと泣く少年。新幹線内を主人公とおっさんと共に彼女のいる車両までゾンビの中を突っ切らないといけないという状況の中、ゾンビと化した野球部員たちと再会し、どうしてもバットが振るえない。切ない。

それから、おばあさん姉妹。人の世話ばかりするお節介な妹とはぐれてしまった姉。その再会は残酷で、集団パニックに陥った乗客に扉を閉鎖され、ガラス扉1枚挟んだ目の前で妹がゾンビに襲われてしまう。「こんな最期でいいのかい?本当にあんた損ばかり」と切ない。

マッスルマンの最期も切ない。手を齧られ感染してしまい、家族を守るため一人でドアを押さえる・・・。「赤ちゃんの名前はまだ決まってないの。この人が決めてくれなくて」と妊婦である妻が序盤で語っていましたが、その妻を逃がそうとする瞬間、「その子の名前は○○だ」と叫ぶんです。切ない。

そして、主人公。彼は最初「自分勝手な人間」として描かれていますが、ゾンビとの諸々を通して「他人を思い遣れる人間」へと変わっていくんです。そこも良い。ラスボスの自己中さも、前半の主人公との精神的な決別を表しているようで良かったですね!!

物語の中盤で主人公のした選択によってこの状況が引き起こされたかもしれないと知らされる。自責の念に駆られ涙する主人公。この時点で死亡フラグ立ったかな・・・とは思ったんですが。おの死に様が最高に泣けました。噛まれて、ゾンビへ変異する瞬間、娘が生まれて初めて抱くときの事を思い出して、笑うんです。ゾンビの顔で笑うその表情の切ないこと切ないこと!思い出しただけで涙腺が。そのまま彼が列車から落ちる姿を影だけ映すのも、センス◎でした。

ラストシーンの歌唱シーンは「音に敏感っぽいゾンビなのに、視界の悪いトンネルの中で歌うのは多少不自然ではないか」と思ったものの・・・あの状況で兵たちに気付いてもらうにはああするしかないですもんね。あれもきちんと伏線を回収していて、上手だなぁこの監督は。と思いました。

まとめ

映画館で、とまでは行かなくとも、ゾンビファンにはぜひとも観て欲しい一本です。

最近は、「アイアムアヒーロー」も面白かったし、アジア圏のゾンビ映画も頑張っていますねー!飽和状態かと思いきやまだまだ面白い映画が出てくるホラー界。

今後にも期待です!

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ゾンビの人権とは?映画『ゾンビ・サファリパーク』ネタバレ&感想

人間の良心は?ゾンビになったら良心はどこにいってしまうの?

久々にゾンビ映画を観ました!前回観たのは多分『ゾンビ・リミット』、その前が『アイアムアヒーロー』かな?前者はゾンビ感染が広がった後、治療方法まで見出された世界の話(ただし薬を毎日打たないとゾンビ化してしまう)で真新しかったし、後者は日本映画良くやった!!と褒めたいくらいに爽快な正統派ゾンビ映画でしたね!

何気にゾンビ映画も大好物なちびぞうです(*^ω^*)

一番好きなゾンビ映画はオチが斬新な『アンデッド』です!

今回はなんと、ゾンビの島でゾンビの射的が楽しめるよっていうリゾート地が開発されちゃっている世界でのお話。邦題はだいぶフザけた感じですが・・・中はどんな感じやら。

【映画情報】

【原題】The Rezort
【制作国】イギリス・スペイン
【監督】スティーブ・バーカー
【脚本】ポール・ガーステンバーガー
【製作】シャーロット・ウォールズ、ニック・ジロット、カール・リチャーズ
【製作総指揮】エイドリアン・ポリトウスキー、ジル・ワテルケン、アラベラ・ペイジ・クロフト
【撮影】ロマン・オーシン
【美術】ジェームズ・ラプスニー
【衣装】アリソン・ミッチェル
【音楽】ザカリアス・M・デ・ラ・リバ
【出演([]内は役名)】

  • ダグレイ・スコット[アーチャー]
  • ジェシカ・デ・ゴウ[メラニー・ギブス]
  • マーティン・マッキャン[ルイス・エヴァンス]
  • ジャッサ・アールワリャ[ジャック]
  • エレン・リス[セイディ]
  • クレア・グース[ヴァレリー・ウィルトン]

【公開日(日本)】2017年1月18日
【上映時間】90分
【映倫区分】PG12
【配給】ポニーキャニオン
【IMDB】5.3/10.0  (およそ4,600人の評価)

【あらすじ】

20億人が犠牲となった人類対ゾンビの戦争から7年。生き残ったゾンビを孤島に隔離してゾンビ狩りを楽しむアトラクション「リゾート」が人気を集めていた。戦争で父を亡くしたメラニーは、ゾンビ狩り療法がトラウマ克服に良いと聞きつけ、パートナーのルイスと共に島にやって来る。しかし、何者かが「リゾート」のシステムにウィルスを仕かけたためにセキュリティが制御不能となり、島中にゾンビが解き放たれてしまう。さらに「ブリムストンプロトコル」が発動され、島は5時間後に自動的に空爆されることに。何も知らないメラニーたちは、野外キャンプでゾンビ狩りを楽しんでいたが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.3/5.0

誰しも思いつきはするけどやってこなかったこの世界観・・・。なぜ誰もやらなかったか?それは”たとえゾンビでも元は人間である”という部分が暗黙の了解というか。見れば分かるというか。倫理的に当たり前というか。だったからなんでしょうね(笑)

全体的にツッコミどころ満載でしたね、やっぱり。分かっていたけども。でもそれでも観てしまう・・・それがゾンビ映画の不思議な魅力・・・

ツッコミどころ

  • ゾンビとの戦争で20億人も失った

まず”ゾンビとの戦争”という言い回し、そして犠牲者の数字に笑ってしまった。おそらく噛まれて死んでいるとすればその人たちも全員ゾンビに違いないので世界人口70億人だとしたら4分の1~3分の1はゾンビですよ!近所の人3~4人に1人がゾンビ!人類滅ぶって!

まぁ、じわじわと広がっていってゾンビ化→ヘッドショットしていって最終的に出た被害者が20億人・・・ということなんでしょうね。冷静に考えれば他のゾンビ映画でもそれぐらいの犠牲者が出ていそうなものはありますが、具体的な数字を提示されることがあまりないのでシュールに感じてしまいました(笑)

  • どう考えてもタブーなリゾート地

ゾンビの生き残りが見つかった島全体をリゾート地に改造。街中に、ゾンビが板のようなものに括り付けられていたり、あるいは鎖で繋がれていたり、それがまるでアトラクションのようにバーンと出て来る。そしてそれを射的のように本物の銃で撃ち殺す。という場所が舞台。

お客はみんなそれぞれ、復讐だったりトラウマ克服の治療だったり、ただはしゃぎたくて来てたりと理由は様々ですが・・・。そもそも”ゾンビを生け捕りにして的にする”という発想が反倫理的に思えるんですよね。だって元は人間の、生ける屍なわけで・・・そのゾンビも誰かの親であり子どもだったわけですよ。いくら動くし襲ってくるからって自分の家族や親類の死体を的にして銃で撃って楽しむなんてことは・・・普通の神経してたら出来ない気が・・・。しかも客の中には16歳の少年まで!いくらガンシューティングゲームの優勝者でもなぁ・・・。

(ゾンビ映画好きの私が倫理観を語るのか?という点は一旦置いておいていただきまして・・・(笑))

  • ぐだぐだのセキュリティ

ゾンビの島にこのリゾート施設のセキュリティルームのようなものを置いている事も「おいおい」ですし、ハンティングが始まる前夜祭の会場からセキュリティの中枢へアクセス出来る場所へお客がすぐに入れてしまうことも「おいおい」ですし。

しかもセキュリティにウィルスを仕込む女は手首にコードをメモっててそれを見ながら打ち込んでるし・・・。そんなとこに書いてたら怪しまれるし何よりすぐ消えちゃうでしょ!!

そしてそんな簡単にセキュリティは破られてしまうのに、島の職員は「鉄壁のセキュリティのはずが何故」とか言っているのでもう笑うしかないです。

  • 脚本もぐだぐだ

ネタバレになりますが、今作を観ながら書いていた私のメモが残っているのでそれを貼ります。

「島だし、客にはヘッドショットを教えているわけだし、いつかはゾンビの数が絶えるのを考えると、どこかから人間を補充していると考えるのが妥当。
先の無いビジネスすぎるもん。
おそらく最初の方で見た難民とかを島に投入してそう
そしてこの島でゾンビになった人の中に家族がいたりしたら、やめさせたくなるのかも。」

90%この通りでした!!

予想から外れたのは、このリゾート地を止めるためのスパイの女は、”リビング2”というゾンビの権利団体の女だったということです。でも大体合ってた。

こんな簡単に予測できてしまって、しかもそのスパイの招待が客の中から発覚する流れも唐突ですし、特に大きな人間ドラマもなくヒロイン以外は全員しんでしまうのです。なんだそりゃ、という感じ。

まとめ

ちょっとだけ、ゾンビの人権?というものを考えるシーンがあって、そこだけは良かったかなー。ラストのヒロインの台詞も良かったです。

ただせっかく、今までなかった事をしているのだからもう少しタブー方向に振り切れてしまっても面白かったかもしれません。中途半端に真面目なので、ネタとしても楽しむことが出来ず、また、昔ながらのB級ホラー映画の様式美(例えば意味のない美女の裸とか、意味のない女同士の絡みだとか、すぐにしぬ頭の悪そうなカップルとか)が踏襲されているわけでもないので、ホラー洋画ファン的にもいまいち。全体的に残念な作品でした。

 

 


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『ダゲレオタイプの女』感想/黒沢清ミーツ仏映画!

その撮影は永遠の命を与える愛。

 

役所広司さん主演のサイコサスペンス『CURE』や浅野忠信、深津絵里主演の『岸辺の旅』などで有名な、黒沢清監督の最新作!なんと舞台はフランスです・・・!

 

一般の劇場公開とは少し遅れて近所のミニシアターにもこの作品がやってきましたので、嬉々として観に行ってまいりました。

ちなみに私は黒沢清監督のテレビシリーズ『贖罪』のファンです^^

パンフレットはこんな感じ。

まるで絵画のよう!!!サテン?生地のドレスがフランス人女優コンスタンス・ルソーの美しさを引き立てていますね。

ページ数はおよそ22ページほど。定価700円。厚みはあまりないですがミニシアター系の映画ですと大体どれもこんな感じですね。

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